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諸天にあるものと、大地にあるものは(全て)、アッラー*を称え*る。かれは偉力ならびない*お方、英知あふれる*お方。
かれは啓典の民*の内、不信仰だった者*たちを、最初の集合¹においてその住居から追い出し給うたお方。(ムスリム*たちよ、)あなた方は彼らが出ていくとは思っておらず、彼ら自身、自分たちの砦が、彼らをアッラー*(の懲罰)から守ってくれるものと思っていた。だがアッラー*(による追放の定め)は、彼らが想像もしなかったところから彼らのもとに到来し、彼らの心の中に恐怖を投げ入れたのである。彼らは自分たちの家を自らの手と、信仰者たちの手で壊した²のだ。ならば慧眼の持ち主たちよ、(彼らに起きたことを)熟慮せよ。
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1 「最初の集合」とは、ナディール族が集合させられ、最初の追放を強(し)いられた 出来事のこと(ムヤッサル545頁参照)。詳しくは、頻出名・用語解説「ナディール族との戦い*」を参照。一方、二番目の「集合」については、「アラビア半島からシャーム地方(現在のパレスチナ、シリア周辺地域)へと、彼らをまとめて追放したこと」「復活の日*、大火が人々を東から西へと集めつつ追いやること」といった解釈がある(アル=バガウィー5:53参照)。 2 この意味には、「追放される際、家屋を壊して木材などを運んで持って行き、残りの部分はムスリム*によって壊された」「追放の後、ムスリム*たちによって利用されないよう、自分たちの手で家屋を壊した」「ムスリム*たちは戦いの場を拡大すべく、彼らの住居を壊していったが、彼らは住居の後方に穴を開けては別の住居へと移動し、転々としていった」などの解釈がある(アル=バガウィー5:53参照)。
もし、アッラー*が彼らに追放をお定めにならなかったのなら、かれは現世で彼らを(殺害や捕囚などにより、)罰されたことであろう。そして彼らには来世で、業火の懲罰がある。
それというのも、彼らがアッラー*とその使徒*に反していたからである。アッラー*とその使徒*に反する者があれば(、アッラー*はその者を罰される)、実にかれは厳しい懲罰を与え給うお方なのだから。
(信仰者たちよ、)あなた方がナツメヤシの木を切ったとしても、それらをその根幹の上にそびえるまま放っておいたとしても、(それは)アッラー*のお許しによるもの(だったの)であり、かれが放逸な者たちを辱めるためだったのである。¹
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1 ムスリム*たちは預言者*の許可のもと、ナディール族の士気をくじくため、あるいは場所を広くするため、彼らが所有するナツメヤシの木々を切り倒した。それに関し、ナディール族がそれを悪い行いとして非難したため、このアーヤ*が下ったのだとされる(アル=クルトゥビー18:6参照)。
そしてアッラー*がその使徒*に、彼ら(ナディール族)から(戦闘することなく)戦利品¹として与えたものは、あなた方がその(獲得の)ためにやラクダを駆ったわけではなかった。しかしアッラー*はその使徒*たちに、かれがお望みになる者を制圧させ給う。アッラー*は全てのことがお出来のお方なのだ。
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1 この戦利品*「ファイゥ」については、頻出名・用語解説の「戦利品*」を参照。
アッラー*が、町の住人(であるシルクの徒*)からその使徒*に、(戦闘することなく)戦利品¹として与えたものは、アッラー*とその使徒*、近親、孤児、貧者*、旅路(で苦境)にある者に属する²。(それは財産が、)あなた方の裕福な者たちの間(だけ)を循環するものとならないようにするため。また、使徒*があなた方に与えたものは取り入れ、彼があなた方に禁じた者は放棄するのだ。アッラー*を畏れ*よ。本当にアッラー*は、厳しい懲罰を与え給うお方なのだから。
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1 この戦利品*「ファイゥ」については、頻出名・用語解説の「戦利品*」を参照。また、非ムスリムとの安全保障・戦いについては、悔悟章36の訳注も参照。 2 同様のアーヤ*である、戦利品章41とその訳注を参照。
自分たちの住居と財産から追い出された、ムハージルーン*の困窮者*たちに¹。彼らはアッラー*からのご恩寵とお喜びを求め、アッラー*(の宗教)とその使徒*を援助する。それらの者たちこそは、(自分たちの言葉を行いで証明した)正直者である。
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1 このアーヤ*「ムハージルーン*の困窮者たちに」の文法的な解釈には、「アーヤ*7の『・・・属する』につながる」「同アーヤ*の『・・・循環するものとならないようにするため』につながり、『・・・ではなく、しかし・・・困窮者たちに』となる」「『・・・困窮者たちに(は驚くべきである)』という文が省略されている」といった諸説がある(アッ=シャウカーニー5:266参照)。
また、彼ら(ムハージルーン*の移住*)以前に、その町(マディーナ*)に信仰心と共に居を定めた者たち(アンサール*)¹。彼らは自分たち(のもと)に移住*したものを愛し、彼ら(ムハージルーン*)が与えられたもの²について、その胸中に嫉妬の念を見出さず、(彼らのことを)自分たち自身よりも優先する。たとえ彼らに、必要性があったとしても、である。自分自身の貪欲さから守られた者、それらの者たちこそは成功者なのだ。
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1 このアーヤ*は文法上、アーヤ*8「・・・困窮者たちに」にかかるとも、それとは無関係だとも言われる(アル=クルトゥビー18:21参照)。 2 これはムハージルーン*だけに分配された、ナディール族の戦利品*のこと(アル=バガウィー5:58参照)。
また、彼ら(ムハージルーン*とアンサール*)の後にやって来た者たちで、(こう)言う者たち¹。我らが主*よ、私たちと、信仰において私たちに先駆けた私たちの兄弟たち(の罪)をお赦し下さい。そして私たちの心の内に、信仰する者たちへの憎しみの念を湧かせないで下さい。我らが主*よ、本当にあなたは哀れみ深い*お方、慈愛深い*お方です」。
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1 これは、ムハージルーン*とアンサール*の善き手法と美点を踏襲(とうしゅう)し、かつ彼らのために公私において幸せを祈る者たちのこと。悔悟章100とその訳注も参照(イブン・カスィール8:72-73参照)。
一体あなたは、偽の信仰に陥った者*たちを見ないのか?彼らは啓典の民*の内、不信心に陥った者彼らの同胞に(こう)言う。「もしも、あなた方が(ムハンマド*によって)追い出されたならば、私たちは必ずやあなた方と共に出て行き、あなた方(を見捨てたりすること)に関して、絶対に誰にも従わない。また、もしあなた方が戦いを仕掛けられたならば、私たちは必ずやあなた方を援助しよう」¹。アッラー*は、本当に彼ら(偽信者*たち)がまさしく、噓つきであることを証言される。
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1 これはナディール族に対する、偽信者*たちの扇動(せんどう)の言葉(ムヤッサル547頁参照)。詳しくは、頻出名・用語解説「ナディール族との戦い*」を参照。
もしも彼ら(ナディール族)が(マディーナ*から)追放されたとしても、彼ら(偽信者*たち)は決して、彼らと共に出て行くことはない。また、もしも彼らが戦いを仕掛けられたとしても、彼ら(偽信者*たち)は絶対に彼らを援助したりしない。そして、たとえ彼ら(偽信者*たち)が(、ナディール族を)援助したとしても、彼らはきっと背中を見せて敗走するのであり、(アッラー*によって)勝利を授けられることもないのだ。
(信仰者たちよ、)彼ら(偽信者*たちとユダヤ教徒*)の胸中においては、あなた方こそがアッラー*よりも激しい恐怖(の的)なのだ。それは実に彼らが、(アッラー*の偉大さと、かれへの信仰を)理解しない民だからなのである。
彼ら(ユダヤ教徒*)は(その臆病さと恐怖ゆえ、)砦で囲まれた町か、壁の向こう側からしか、あなた方に全員で攻撃してきたりはしない。彼らの間の敵意は激しい¹。あなた方は彼ら²が団結していると思う。彼らの心は(信条や目的の不一致で、)ばらばらなのだが。それは実に彼らが、(アッラー*のご命令と御徴を)弁えることのない民だからなのだ。
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1 その他、「壁や砦の向こうに自分たちだけでいる限り、彼らの威勢(いせい)は強い」という解釈もある(アル=バガウィー5:62参照)。 2 この「彼ら」が誰を指すのかについては、「ユダヤ教徒*と偽信者*たち」「偽信者*たち」「シルク*の徒と啓典の民*」といった説がある(アル=クルトゥビー18:36参照)。
(彼らユダヤ教徒*の様子は、)彼らより前の最近の者たち¹の様子のようである。彼らは(現世で)彼らの事²(ゆえ)の罰を味わったのであり、彼らにこそは(来世において)痛ましい懲罰があるのだ。
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1 これは、バドルの戦い*でのクライシュ族*の不信仰者*たちや、ナディール族より先にマディーナ*を追放された、ユダヤ教徒*のカイヌカーゥ族のことを指すとされる(ムヤッサル547頁参照)。 2 彼らの不信仰と、預言者*に対する敵対心という「事」(前掲書、同頁参照)。
(彼ら偽信者*たちが、ユダヤ教徒*を戦いへと唆す様子は、)人間に「不信仰となれ」と言った時の、シャイターン*の様子のようである。それで彼が不信仰に陥ると、彼(シャイターン*)は(こう)言ったのだ。「本当に私は、あなたとは無縁である。本当に私は、全創造物の主*アッラー*を怖れているのだから」。
彼ら(シャイターン*と彼に従った人間)両人の行く末は、地獄の中。彼ら両人はそこに、永遠に留まる者となる。それが不正*者たちへの応報なのだから。
信仰する者たちよ、アッラー*を畏れ*、自分自身が明日¹のために成したことをよく考えよ。そしてアッラー*を畏れる*のだ。本当にアッラー*は、あなた方が行うことに通暁されるお方なのだから。
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1 復活の日*という「明日」のこと(前掲書548頁参照)。
また、アッラー*(の唱念と義務)を忘れ、それでかれが彼らに(その不服従ゆえ)、自分自身のことを忘れさせ給うた者¹たちのようになってはならない。それらの者たちこそは、放逸な者たちなのだから。
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1 復活の日*に自分自身の役に立つ原因となる、善行を忘れさせられた者のこと(前掲書、同頁参照)。
地獄の徒と天国の徒は、同等ではない。天国の徒こそは勝利者なのだ。
もし、われら*がこのクルアーン*を山に下し(、それがその約束と警告を理解し)たならば、あなたはそれが恭順となり¹、アッラー*への恐怖ゆえに砕け散るのを見たであろう。そしてそれらの譬えは、われら*が人々に挙げるもの。彼らが(アッラー*の御力と偉大さを)熟考するように、とのためである。
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1 「恭順さ」については、雌牛章45の訳注を参照。
かれはアッラー*。その外に、(真に)崇拝*すべきいかなるものもないお方で、不可視の世界*と現象界¹をご存知のお方。かれは慈悲あまねき*お方、慈愛深い*お方であられる。
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1 「現象界」については、家畜章73の訳注を参照。
かれはアッラー*。その外に、(真に)崇拝*すべきいかなるものもないお方。(真の)王、聖なる*お方、平安*なお方、保障される*お方、統制させられる*お方、偉力ならびない*お方、制圧される*お方、威風堂々たる*お方。彼らがシルク*を犯しているものから(無縁な)、アッラー*に称え*あれ。
かれはアッラー*、創造主、創成者*、造形者。かれにこそ、美名は属する。諸天と大地にある(全ての)ものは、かれを称え*る。そして、かれは偉力ならびない*お方、英知あふれる*お方であられる。