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清算の日に人々の生前の行いが清算される日は近い。しかもそれは不意にこの世に忙しくあの世への備えに背を向けた状態のときにやって来るのである。
主の御許よりクルアーンがもたらされる度に啓示の背景となる話を彼らは親身になって聴こうとはしない。ふざけて何の注意を払うこともない聞き方でしかないのである。
心が散漫なまま聞くのである。不義をなす者たちは不信仰を秘めつつお互いに語り合う。「自分のことを使徒だと主張する奴はあなたたちと同じ人間で、何の特徴もないのだろうか。彼がもたらしたものは魔術だ。あなたたちと同じ人間であり、彼のもたらしたものは魔術であることがわかっていながら、彼に従うのか。」
使徒(祝福と平安あれ)は言った。「私の主はあなたたちが秘めた話も知っておられ、天地において誰のどんな言葉もすべて知っておられます。かれこそは僕たちの言葉をすべて聞く御方であり、行いをすべてご存知の御方であり、それらに応じて報われるのです。」
だが彼らはムハンマドがもたらしたことについて戸惑い、時には「解釈しようもない混ぜこぜの夢」と言い、時には「単なるでっちあげ」と言い、時には「詩人だ。もし彼の主張が誠実なものならば、初期の使徒たちがやって見せたような奇跡を見せてみろ」と言う。確かに、以前の使徒たちは奇跡を起こした。ムーサーの杖やサーリフのラクダのように。
これらの提案する者たちの前にも印の降臨を提案した村の民があったが、信じることはなかった。提案したままを与えられたにもかかわらず、それらを否定したため、われらは彼らを滅ぼしたのである。果たしてこれらの者たちは信じるだろうか。
使徒よ、あなた以前にもわれらが遣わして啓示を下したのは人間の男たちだけであり、天使たちではなかった。だからもしあなたたちにそれについてわからないことがあれば、あなたたち以前の啓典の民に尋ねるがよい。
また、われらが遣わした使徒たちで、食べ物を食べないでよい身体の持ち主を遣わしたことはない。皆、他の者が食べるように食べ、死なずにこの世にあり続ける者でもなかった。
そうしてわれらは使徒に約束したことを成就し、彼ら使徒たちとわれらが望む僕たちを破滅から救ったが、アッラーを信じることなく罪を犯し続けて一線を越えた者たちは滅ぼしたのである。
われらはもしあなたたちがそれを真実と受け止めて実践すれば、あなたたちにとって栄誉と誇りとなる事柄を有するクルアーンを下した。考えようとはしないのか。それを信じ、教えを実践すべく競い合おうとはしないのか。
不信仰で不義をなしたためにわれらが滅ぼし、われらの創造した別の民に取って変えられた村のなんと多きことか。
滅ぼされようとする者たちがわれらの徹底的な懲罰を見ると、彼らは初めて自分たちの村から破滅を逃れようと逃げ急ぐのである。
嘲るように言われるのだ。「逃げてはならない。快楽を享受していたままの状態かつ自分の家に戻るのだ。この世のことで何か問われるかもしれないのだから。」
これらの罪を認めた不義の徒は言った。「我々は滅び、負け犬となるのだ。アッラーへの信仰を拒否したことで、我々は不義をなす者であった。」
罪を認め、自らの滅びを呪うといったことを彼らは繰り返し、われらが彼らを収穫された穀物のように死んで動かなくなるまで続けた。
われらが天地を創造したのは、遊びや無意味なことではない。われらの力への証としてつくったのである。
万が一われらが伴侶や子供を望めば、われらのもとにいる者をそうしただろう。だがそうしなかったのは、われらがそれとは無縁だからである。
むしろわれらが使徒へ啓示する真理を不信仰の民の虚偽に投げつけて虚偽を暴くと、彼らの虚偽は脆くも消え去る。神に伴侶や子供がいると唱える者たちよ、あなたたちにはかれに相応しくない描写をしたことで破滅が待っているのである。
完全無欠なかれにのみ、諸天と大地の王権はあり、その御許にいる天使たちが傲慢さからかれへの崇拝を拒否することはなく、(崇拝行為をし続けても)疲れることはない。
アッラーへの讃美をいつもし続け、それに飽きることもない。
ところが多神教徒はアッラーのほかに神々を奉った。死者を蘇らせることもできないのに、どうして彼らを崇めるのか。
万が一、諸天と大地に多数の崇められるべき存在がいたならば、それらの王権争奪で混乱に陥っていただろう。だが、現実はそれとは異なる。よって玉座の主、アッラーは多神教徒が「かれには仲間がいる」とでっち上げる主張とは無縁なのである。
アッラーこそが王権においても決定においても単独でなされる御方であり、誰にもかれが決め定めたことを問うことはできない。むしろかれが僕たる人間に行いを問い、それに応じて報われるのである。
彼らはそれにとどまらず、アッラーのほかに多くの崇拝対象をもうけた。使徒よ、これらの多神教徒に言いなさい。「これらのものが崇拝に値するという、あなたたちの証拠を見せてください。これは私に啓示された書です。他の使徒たちに下された天啓の書に、あなたたちを利する証拠はありません。」ほとんどの多神教徒には無知と慣例踏襲しか根拠がなく、背を向けて真理を受け入れようとはしないのである。
使徒よ、あなた以前に遣わした使徒で、崇拝に値するのはわれのみであり、われだけを崇め、われ以外の存在をわれと同列に置いてはならないと啓示しなかったことはない。
多神教徒は言った。「アッラーは天使たちを女にしたのだ。」完全無欠なかれは、彼らがでっち上げる言説とは無縁で格別に清浄な御方である。むしろ天使はアッラーの僕であり、かれに大切にされ、近しい存在である。
彼ら天使たちが主に先んじて発言することはなく、ご命令があるまでは発話しない。ご命令を実践し、決して違えることはない。
かれこそ彼ら天使たちの行いを先んじて知っておられ、行いの後どうなるかも知っておられる。天使たちが執り成しを勝手にお願いすることはなく、ただただかれのご満悦を得て執り成しを許可された者の執り成しを願うだけである。彼らはかれを恐れて注意深くあり、命令においても禁止においても一切ご命令に背くことはない。
例えばの話として、天使のうち誰かが「アッラー以外にわれを崇めよ」と言ったならば、われらはその言葉により清算の日に永遠の火獄の懲罰でその者に報いるだろう。またこれと似た報いによってアッラーへの信仰を拒否し、多神崇拝で不義をなす者たちに報いるだろう。
アッラーを否定する者たちは、諸天と大地がかつて重なり合っていて、隙間なくそこから雨が降っていたのをわれらが両者をわけ、天から地へ降る雨によりすべての動植物をつくったのを知らないのか。それを考慮してアッラーのみを信じようとはしないのか。
またわれらは大地に不動の山をつくり、その上にいるものが落ち着けるようにした。そしてそこに広い道を用意した。きっと人々は迷わずに歩き、旅路における目的地に到達できるだろう。
そしてわれらは空を柱なしで落ちない天蓋とし、盗み聞きできないようにしたが、多神教徒たちは天空にある太陽や月などの数々の印に背を向け、全く顧みようとしない。
アッラーただおひとりが夜を憩いのため、糧を得る仕事のために昼を創造され、太陽を昼の印として、月を夜の印として創造されたのである。太陽も月もそれぞれ特有の軌道で動き、逸れたり傾いたりすることはない。
使徒よ、われらはあなた以前の人間の誰もこの世にあり続ける者としたことはない。この世でのあなたの寿命が来て死んだ後も、彼らは生き残り続けるというのか。そんなことはあり得ない。
この世で命あるものはすべて、信者であれ、不信仰者であれ、死を味わうのである。人々よ、われらはあなたたちをこの世で責任遂行や恩恵、苦悩で試み、それから死後他のものではなくわれらのもとへ戻り、行いに応じて報われるのだ。
使徒よ、これらの多神教徒たちがあなたを見れば、きまって嘲笑し、彼らに従う者たちを遠ざけながら言うのである。「彼があなたたちの崇める神々を愚弄する奴か。」彼らはあなたへの嘲笑に加え、アッラーがクルアーンで下したものを故意に否定し、与えられた恩恵に覆いをかけて恩を忘れている。悪という悪を集めた彼らこそ懲罰に相応しい。
人間は焦りやすいものである。事が起こる前に急かそうとする。その一例が、多神教徒たちが懲罰を急くことである。わが懲罰を急かす者たちよ、あなたたちが急かすものを見せてやろう。急ぐのを求めはしないだろう。
復活を拒否する不信仰者たちは言う。ムスリムたちよ、あなた方が来ると言う復活は、何時起こるのか、と。
万が一これらの復活を否定する不信仰者たちが、炎が顔や体から離れないのを知っていたなら、懲罰を払いのけて助けてくれる援助者はいないのを知っていたなら、懲罰を急くことはなかっただろう。
彼らが苛まされているこの炎は、事前にわかっていた。むしろそれは突然やって来るのである。だからはね返すことはできず、慈悲を得られるよう悔い改めるまで遅らせることもない。
たとえもしあなたの民があなたを嘲笑しても、あなたが初めてそれを経験するわけではない。使徒よ、あなた以前の使徒たちも嘲笑されたのである。だが今や彼ら不信仰者が生前使徒たちの警告を馬鹿にしていた懲罰に包囲されている。
使徒よ、懲罰を急く者たちに言いなさい。「慈悲深き御方があなたたちに懲罰と破滅を下そうとされたら、昼夜あなたたちを守ってくれるのは誰でしょうか。」だが彼らは主の啓発と証拠に背を向け、無知と愚かさでそこにあるものを一切考慮しようとしない。
それとも彼らにはわれらの懲罰を防いでくれる神々がいるのか。害をはねのけ、益をもたらして自分自身を助けることもできない。自分を助けることもできない存在が、他者をいかに助けられようか。われらの懲罰から逃れることもできないのに。
むしろわれらはこれらの不信仰者に恵みを与え、彼らの父祖に恵みを与えることで、段階的な試練を与え、時が経つことで傲慢になり、不信仰を常とするようになった。われらの恩恵に驕り高ぶり、われらの懲罰を急かそうとするこれらの者たちにはわからないのか。われらが大地の端々から民を屈服させることで大地を侵食するのを。他の者に起きたことが自分には起きないよう、教訓を生かそうとはしないのか。彼らは勝利者ではない。打ち負かされる者なのである。
使徒よ、言いなさい。「人々よ、私の主が啓示してくださったことを基に、アッラーの懲罰によって皆さんに恐ろしい知らせをお伝えします。」だが、真理の聞こえない人は、アッラーの懲罰で脅かされても呼びかけを聞くことはできない。
使徒よ、もしこれらの懲罰を急かそうとする者たちに主の懲罰が降りかかったなら、彼らはその時言うだろう。「我々は滅び、負け犬となるのだ。我々はアッラーとは別のものを崇め、ムハンマドがもたらしたものを嘘としたことで、不義をなす者だった。」
清算の日に集められた民のために、われらは公平な秤で生前の行いをはかるだろう。その日、善行を差し引かれ、悪行が増えることで不当な扱いを受ける者は誰一人としていない。たとえ秤にかけられたものがけし粒のように小さなものであったとしても、僕の行いを把握する者としてはわれらで充分である。
われらはムーサーとハールーン(二人に平安あれ)に真理と虚偽、許されたものと禁じられたものを分かつものとして、信者への導き、主を意識する人への訓戒として律法を与えた。
たとえ見たことがなくても主を信じ、その懲罰を恐れ、最後の時を恐れる者たちである。
ムハンマド(祝福と平安あれ)にわれらが啓示したこのクルアーンは、訓戒を得て教訓を学ぼうとする人にとって訓戒であり、多くの善良さと利益をもたらすもの。それにもかかわらず、あなたたちはそれを否定かつ否認し、その教えを実践しようとしないのか。
われらはイブラーヒームが幼少のころから知っており、彼の民への論証を与えた。われらの知識から彼に相応しい論証を与えたのである。
彼が父のアーザルと自分の民に言ったときのこと。「あなたたちが自分の手で作って崇め奉っている、これらの偶像は何でしょうか。」
彼の民は言った。「我々の父祖が崇めていたから、彼らに倣って我々もそうしているのだ。」
イブラーヒームは彼らに言った。「あなたたち慣習に倣う人たちも、あなたたちの父祖も、真理の道からは逸れて迷いの中にあるのははっきりしています。」
彼の民は言った。「そんなことをお前は本気で言っているのか。それともからかっているのか。」
イブラーヒームは言った。「冗談ではなく本気です。あなたたちの主は、前例なしに諸天と大地を創造した御方。私はあなたたちの主こそが諸天と大地の創造主であることを証言する者の一人です。あなたたちの偶像にはとても真似のできないことです。」
イブラーヒームは民が聞こえないように言った。「アッラーに誓って、彼らが祭りに行った後で偶像にいたずらをしてやろう。」
そうしてイブラーヒームは彼らの偶像を粉々にし、わざと一番大きな偶像を残した。彼ら多神教徒が誰の仕業かをその大きな偶像に尋ねられるように。
彼らが戻り、偶像が粉々にされているのを見てお互いに尋ね合った。「我々の神々を壊したのは誰だ!?壊した奴は本当にひどい奴だ。神聖に扱わねばならないのを粗末にするとはけしからん!」
ある者は言った。「イブラーヒームという少年が偶像を批判して罵っていたのを聞いたぞ。きっと壊したのは彼だろう。」
彼らの頭領が言った。「イブラーヒームを皆の前に連れて来い。彼が自分のやったことを認めれば民衆が証人となり、彼の自白はあなたたちにとっての論証になるだろう。」
そうしてイブラーヒームを連れて来て問いただした。「イブラーヒームよ、お前が我らの偶像にこんなひどいことをしたのか!?」
イブラーヒームは民衆の面前で仰々しく偶像の不能を明らかにして言った。「私がしたのではありません。一番大きな偶像の仕業です。皆さんの偶像にお尋ねください。もし話すことができるのなら。」
彼ら多神教徒は我に返って考えてみたが、そもそも偶像に利害をもたらすことができるわけがないのを悟った。アッラー以外に偶像を崇めたことで彼らは不義をなしたのである。
それから彼らは頑固かつ頑迷になって言った。「イブラーヒームよ、お前は偶像が話などできないのをわかっているだろう。我らへ偶像に聞いてみよ、などとよく言えたものだ。」彼らはそれで論破したつもりだが、むしろ自分たちへの反証となったのである。
イブラーヒームは彼らを否定しながら言った。「アッラーのほかに利害をもたらすことのできない偶像を崇めるのですか?偶像は自分を守ることも利することもできないのですよ。
あなたたちの情けないこと!アッラーのほかにあなたたちが崇める、役立たずの偶像の情けないこと!考えてはみないのですか?偶像崇拝をもうやめたらどうですか?」
議論では太刀打ちできないのを知ると、彼らは実力行使に出ようとして言った。「イブラーヒームを火あぶりにしてしまえ!あやつに壊されてしまった偶像に加勢して、懲らしめてやるのだ。」
そうして彼らは火を焚いて彼を投げ入れたが、われらは言った。「炎よ、イブラーヒームのために冷たく穏やかであれ。」すると火はそうなり、彼は無事であった。
イブラーヒームの民は彼を火あぶりにするという策を用いたが、われらがその策を無効にし、彼らのほうを滅びゆく敗北者としたのである。
われらは彼とルートを救い、預言者たちを輩出させ、様々な恵みを産出する地とすることでその周りを祝福したシャーム(シリア地方)の地へ二人を連れ出した。
そして子どもを授かるように彼(イブラーヒーム)が主に祈ったとき、われらはイスハークを授け、さらに(孫の)ヤアクーブも授け、イブラーヒームとその子孫二人のイスハークとヤアクーブを皆アッラーに忠実で敬虔な者とした。
われらは彼らを指導者とし、人々を善導して至高なるかれのお許しを得て、人々をアッラーにのみお仕えするよう呼びかけさせた。善行に勤しみ、礼拝を正しく捧げ、定めの施しを払うよう啓示を下したが、彼らはわれらに忠実であった。
ルートには、諍いにおける調停の才と宗教に関する知識をわれらは与えた。それから淫らな行いに耽っていた民のいた彼の村サドゥーム(ソドム)に下したわれらの懲罰から彼を救った。本当に彼らは退廃の民であり、主に従う道からは大きく外れた者たちであった。
彼の民を襲った懲罰から救い、彼をわれらの慈悲の中に入れた。彼はわが命令を果たし、禁止を避ける敬虔な者たちの一人であった。
使徒よ、ヌーフの物語を思い起こせ。イブラーヒームとルートよりも前に彼がアッラーに呼びかけたとき、われらはそれを聴き遂げて彼が頼んだものを与えた。そうしてわれらは彼とその家族のうちの信者を大きな災難から救ったのである。
彼の誠実さを明らかにする数々の印を否定した民の策略から救った。本当に彼らは退廃の民であり、悪しき民であったため、われらは彼らを全員水没させて滅ぼした。
使徒よ、ダーウードとその息子スライマーン(二人に平安あれ)の物語を思い起こせ。二人のもとに言い争う原告と被告の訴訟が上げられたときのこと。一方の羊が夜の間に他方の牧草を台無しにしてしまった。われらはダーウードとスライマーンの裁定の証言者であり、彼らの裁定でわからないことは何もない。
その件については、父のダーウードではなくスライマーンに理解を与えた。それぞれダーウードとスライマーンには預言者性と唯一の神の教えに関する知識を授け、スライマーンだけに与えたわけではない。ダーウードには讃美する山や鳥を従わせ、理解や権力、知識を与えて自在に操ることができるようにした。
またわれらはダーウードに武器から身を守る鎧の作り方を特別に教えた。人々よ、アッラーがあなたたちに恵んでくださった恩恵に感謝しようとはしないのか。
またわれらはスライマーンに風を従わせ、預言者たちを輩出させ、様々な恵みを産出する地とすることでその周りを祝福したシャーム(シリア地方)の地へ激しい風を命じて向かわせた。われらはすべてを知り、わからないことは何一つない。
またわれらは彼(スライマーン)のために海中から真珠などを持ち寄らせたり、建設などの仕事をしたりする悪魔を従わせた。その数や行いをわれらはすべて把握し、監督下にないものは何一つなかった。
使徒よ、アイユーブ(平安あれ)の物語を思い起こせ。試練に見舞われて主に祈った時のこと。「主よ、私は病気となり、家族を失いました。あなたは誰よりも慈悲深い御方です。どうか私のこうむったものを遠ざけてください。」
われらは彼の祈りに応え、彼のこうむった害を遠ざけ、失った妻や子どもたちに似た家族を与えた。それはすべてわれらの慈悲から行ったことであり、アイユーブのように耐え忍ぶよう、アッラーに信仰行為を捧げて忠実である者たち皆への訓戒として行ったのである。
使徒よ、イスマーイールとイドリース、そしてズルキフル(彼らに平安あれ)の物語を思い起こせ。それぞれが皆試練によく耐え忍び、アッラーに課せられたことを実践する者であった。
われらは彼らをわが慈悲に入れ、預言者として天国へ入れた。本当に彼らは主に従い善行をなす敬虔な僕たちで、心に秘めたことも公にすることも正しい者たちであった。
使徒よ、鯨の友ユーヌス(平安あれ)の物語を思い起こせ。主の許しを得ず彼の民の反抗ぶりに怒りながら行ったときのこと。彼は(自分が)勝手に行ったことに対してわれらが懲罰で締め付けることはないと思ったが、鯨に呑まれて強烈な締め付けと狭苦しさに見舞われることとなった。鯨の腹の中や大海、夜の闇の中で彼は祈り、自分のあやまちを認めてアッラーに悔い改めて言った。「正しく崇められるべき存在はあなたのほかにありません。あなたこそ超越した至高なる御方。私は本当に不義をなす者の一人でした。」
そうしてわれらは彼の祈りに応え、暗闇と鯨の腹の中から抜け出させて強烈な困難から救い出した。こうしてユーヌスを苦難から救い出したように、われらは苦難に陥ってアッラーに祈る信者を救うのである。
使徒よ、ザカリーヤー(平安あれ)の物語を思い起こせ。「主よ、どうか私を後継ぎなしの一人のまま放っておかないでください。あなたこそ最良のかたちで存続させる御方。どうか私の後を継ぐ子供をお恵みください。」と完全無欠な主に祈ったときのこと。
われらは彼の祈りに応え、ヤハヤーを子として授け、不妊だった彼の妻を癒して子供が産めるようにした。本当にザカリーヤーとその妻、そしてその息子は率先して善行に勤しむ者であり、われらのもとにある報奨を願って祈り、懲罰を恐れ、われらに謙虚に身をかがめて祈る者であった。
使徒よ、貞節を守ったマルヤム(平安あれ)の物語を思い起こせ。アッラーがジブリール(平安あれ)を彼女のもとに遣わせて息吹きを吹きかけ、イーサー(平安あれ)を身ごもった。そうして彼女とその息子イーサーはアッラーのお力を示す印となったのである。父親なしに子をなしたが、かれにできないことは何もない。
人々よ、これがあなたたちの唯一の宗教である。それが崇めるべきは唯一の神のみとするイスラームの教えである。われがあなたたちの主であり、われにのみ信仰行為を捧げよ。
そうして人々は分裂し、それぞれ一神教徒や多神教徒、不信仰者や信者となった。だがこうした分裂した者たちも皆一様に清算の日にはわれらのもとへ帰り行くのであり、われらは彼らの行いに応じて報いるのである。
よって彼らのうち、アッラーとその使徒たち、そして最後の日を信じて善行を果たし、自分の善行に偉ぶることなくその報奨をアッラーに感謝する者には、かれはその報奨を倍加される。その者は自分の行いの書を復活の日に見て喜ぶのである。
不信仰によってわれらに滅ぼされた村の民がこの世に戻って悔い改め、その悔悟が受け入れられることは不可能である。
たとえヤァジュージュとマァジュージュ(ゴグとマゴグ)の壁が開かれたとしても、彼らが戻ることは決してなく、彼らはその日地上の丘という丘全てから駆け出してくる。
彼らの出現は清算の日が近いことを意味し、その激しく辛い状態が明らかとなる。不信仰者の目は激しい光景を前に見開かれ、言うのである。「我々はもうお終いだ。生前我々は遊び呆けてこの偉大な日のために何の準備もしなかった。むしろそれどころか、不信仰と罪を重ねて悪さばかりしていた。」
あなたたち多神教徒とアッラーのほかにあなたたちの崇める偶像よ、人間とジンであなたたちの崇拝に満足するものは皆地獄の業火の燃料である。あなたたちとあなたたちが崇めるものがそこに入れられるのだ。
もしこれらの崇拝対象が本当に崇められるべき神々であったなら、地獄に入れられることなどなかっただろう。だが実際は(偽物を)崇めてきた者も(偽物ながらも)崇められてきた者も皆地獄行きであり、永遠にそこにとどまって決して出られないのである。
彼らにはそこでの苦痛が強烈なあまり吐く息も激しく、火獄の中では恐ろしさのあまり何も聞こえない。
多神教徒が、「崇拝対象とされていたイーサー(イエス)や天使たちも地獄行きのはずだ」と言うと、アッラーは仰せられた。「アッラーの知によってイーサー(平安あれ)のように幸福の民として知られていた者は、火獄からは遠ざけられるのである。」
火獄の音が彼らの聴覚に達することはない。恩恵や悦楽など、自我が欲するものに浸ることができるだろう。その恵みが途絶えることはないのである。
火獄に相応しい者に炎が降りかかる際、そのとてつもない恐怖が秘められることはない。天使たちは祝いの言葉で迎えて言うだろう。「これこそあなたたちが生前この世で約束されていた日であり、得られる恩恵の吉報を受けていた日です。」
われらが天をまるで帳簿を閉じるように折りたたむ日、生きとし生けるものを最初に創造された姿で復活させる。われらはそれを違えることのない約束で約束した。われらは約束したことを達成するのである。
われらは守護された碑板に記した後で使徒たちへ下した書に記した。「大地はアッラーに忠実にお仕えする敬虔な僕たち、すなわちムハンマド(祝福と平安あれ)の共同体が継ぐ。」
われらが下した訓戒には、主に命じられた通りにお仕えする民への伝達があり、彼らこそがそれを役立て得るのである。
ムハンマドよ、われらがあなたを使徒として遣わしたのは、生きとし生けるものへの慈悲としてに他ならない。それはあなたが人々の導きとアッラーの懲罰からの救済を気にかけるからである。
使徒よ、「私の主から啓示が下されたのは、あなたたちが本当に崇めるべきは唯一であり、並ぶ者なき御方アッラーです。だからかれを信じ、従いなさい」と言いなさい。
それらの者たちがあなたのもたらしたものに背を向けたなら、使徒よ、彼らに言いなさい。「私は皆さんと同じでいつアッラーの約束された懲罰が下されるかは知らないとお伝えしたはずです。」
本当にアッラーはあなたたちが何を言うかも、何を隠し立てするかもご存知であり、何一つわからないことはなく、それに応じて報いられるのである。
「私にはわかりませんが、ひょっとするとあなたたちに懲罰をすぐに下されないのは、あなたたちへの試練かつ段階的尋問であり、あなたたちが不信仰と迷妄にあり続けるようアッラーの知に定められた特定の期限までの享楽としてかもしれません。」
アッラーの使徒(祝福と平安あれ)は主に祈りつつ言われた。「主よ、私たちと不信仰に固執し続ける私たちの民との間を真理の裁断で分けてください。あなたたちが言う不信仰や嘘に対し、私たちは慈悲深き私たちの主に助けを求めます。」