ترجمة سورة المائدة

الترجمة اليابانية - سعيد ساتو
ترجمة معاني سورة المائدة باللغة اليابانية من كتاب الترجمة اليابانية - سعيد ساتو .

信仰する者たちよ、契約を果たす¹のだ。あなた方に誦み聞かされるもの²を除き、家畜獣³はあなた方に合法とされた。あなた方がイフラーム*中に、狩猟を合法とすることもない。本当にアッラー*は、かれがお望みのことを取り決められるお方なのだから。
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1 イスラーム*を信じ、それに従うというアッラー*との契約(雌牛章27の訳注も参照)。 及び、信託や売買など、イスラーム*法で合法とされる範囲内での人と人の間の約束のこと(ムヤッサル106頁参照)。 2 「誦み聞かされるもの」の内容は、アーヤ*3で明確にされている(アッ=タバリー4:2666参照)。 3 一般にはラクダ、羊、ヤギ、牛のこととされる(ムヤッサル106頁参照)。
信仰する者たちよ、アッラー*の聖徴¹、神聖月²、供物³、首飾り⁴、そしてその主*の御許からのご恩寵と(かれの)お喜びを求めて聖殿(カァバ神殿*)を志す者たちのことを、侵してはならない。また、(イフラーム*を)解禁したならば、狩猟してもよい。そして、あなた方をハラーム・マスジド*から阻んだことゆえの、ある民への憎しみが、あなた方を(彼らに対する)侵害へと向けてしまうようではならない。また、善と敬虔さ*においては互いに助け合い、罪や侵犯においては互いに助け合ってならない。そしてアッラー*を畏れ*よ。本当にアッラー*は、厳しく懲罰されるお方なのだから。
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1 「聖徴」とは、アッラー*がお定めになり、ご命じになり、禁じ給うた全てのもの(アッ=タバリー4:2671参照)。 2 ここでは、神聖月*に戦うことを意味するとされる(ムヤッサル106頁参照)。雌牛章194、217とその訳注も参照。 3 「供物」とは、アッラー*に捧げるべくマッカ*の聖域へと連れていく、羊やラクダなどの犠牲用の家畜のこと(アッ=サァディー218頁参照)。 4 犠牲用の家畜で、特別に首飾りをつけられたもの(前掲書、同頁参照)。
あなた方には、(以下のものが)禁じられた:死体、血液、豚肉、アッラー*以外の名において屠られたもの¹、絞め殺されたもの、撲殺されたもの、転落死したもの、(外の家畜の角で)突き殺されたもの、野獣に食い殺されたもの——但し(それら²がまだ息のある内に)あなた方が止めを刺したものは、その限りではない——、(アッラー*を差しおいて崇めるために)立てられたものの上で屠られたもの³、賭矢を引くこと⁴。それらは放逸さなのだ。今日、不信仰に陥った者*たちは(、あなた方が)あなた方の宗教(を棄てないこと)に失意しきっている。ならば彼らのことは恐れずに、われ(アッラー*)のことを怖れるのだ。この日⁵われはあなた方のために、あなた方の宗教を完成させ、あなた方へのわが恩恵を全うし、イスラーム*があなた方への宗教であることに満足した。(故意に)罪に傾く⁶のでもなく、空腹でやむを得ない状態にある者は誰でも(、禁じられたものを食べてもよい⁷)、本当にアッラー*は赦し深いお方、慈愛深い*お方なのだから。
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1 「死体」「血液」「アッラー*以外の名において屠られたもの」については、雌牛章173の訳注を参照。 2 この「それら」は、「絞め殺されたもの」以下を指す(ムヤッサル107頁参照)。 3 「立てられたもの」とは、崇められ、犠牲の血をかけられていた石のこと。一説には、その石の上で屠られたものではなく、それらの石のために屠られたもののこと(アル=クルトゥビー6:57参照)。 4 ジャーヒリーヤ*において、人々は何らかを決意するにあたり、これらの賭矢などを用いた「くじ引き」に頼ることがあった。イスラーム*はこれを禁じ、その代わりに、アッラー*に決断の選択を乞う、「イスティハーラ」という特別な礼拝を定めた(イブン・カスィール3:24-25参照)。 5 「この日」とは、預言者*が他界する数十日前、彼が生涯で最初で最後に行った「別れのハッジ*」における、アラファの日(ヒジュラ暦*10年ズル=ヒッジャ月*第九日)のこと(アル=ブハーリー45参照)。 6 この「罪に傾く」とは、必要もなく禁じられたものを食べたり、やむを得ない状態であっても、自分の必要を満たす以上のものを口にしたりすること(アッ=サァディー219頁参照)。 7 雌牛章173とその訳注も参照。
(預言者*よ、)彼ら(教友*たち)は、自分たちに合法とされた(食べ)物は何なのか、あなたに尋ねる。言ってやるがいい。「あなた方には、善きもの¹が合法とされた。また捕食獣²の内、あなた方が狩猟を訓練し、アッラー*があなた方にお教えになったもので調教するもの(が捕まえた獲物)も。ならば、それらがあなた方のために捕まえたものを食べ、それにアッラー*のみ御名を唱えるのだ³。そしてアッラー*を畏れ*よ。本当にアッラー*は、即座に計算される*お方なのだから」。
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1 この「善きもの」とは、健全な感覚が忌避(きひ)感や嫌悪(けんお)感を抱くことのないもの。あるいは、クルアーン*とスンナ*、及びそれらから導き出される類推(るいすい)により、禁じられてはいないもの(アル=バイダーウィー2:295参照)。 2 ここには、同じ類(たぐ)いの鳥類も含まれる(ムヤッサル107頁参照)。 3 アッラー*の御名を唱えるのは、狩猟を調教した鳥獣を放す時(前掲書、同頁参照)。
(信仰者たちよ、)この日、あなた方には善きものが許された。また、啓典を授けられた者*たちの食べ物¹はあなた方にとって合法であり、あなた方の食べ物は彼らにとっても合法である。また、信仰者女性の内の貞淑な女性と、あなた方以前に啓典を授けられた者*たちの内の貞淑な女性²も(合法である)。あなた方が貞淑であり、(公然と)姦淫を犯したり、情婦を持ったりもせず、彼女たちに婚資金*を贈るのであれば、だが。誰であろうと信仰を否定する者、その行いは確実に台無しとなるのであり、来世において彼は損失者の類となるのだ。
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1 この「食べ物」は、大半の学者の見解では、彼らが屠殺(とさつ)した生き物の肉のこと(アル=クルトゥビー6:76参照)。家畜章121も参照。 2 いずれの場合でも、ここでは自由民女性のことを示すというのが、大半の学者の見解(アル=バガウィー2:19、ムヤッサル107参照)。婦人章25も参照。
信仰する者たちよ、あなた方が礼拝を意図した時には、自分たちの顔と、両腕を肘まで洗い、頭を撫で、両足をくるぶしまで(洗え)¹。そして、あなた方がジャナーバ*の状態にあったら、(礼拝の前に、水で)身を清めよ。また、もしあなた方が病人²や旅行中であったり、あなた方の誰かが窪地から(戻って)来たり³、(妻である)女性と交わったりした後(、穢れを清めるための)水を見つけられなかった時は、清浄な地面へと向かい(それに触れ)、その一部であなた方の顔と両手を撫でる⁴のだ。アッラー*はあなた方に、困難をお授けになりたいのではない。しかし、かれはあなた方を清められ、あなた方が感謝するように、あなた方の上にその恩恵を全うされたいのである。
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1 この清めの行為は、「ウドゥー*」と言われる。 2 「病気」に関しては、、婦人章43の訳注を参照。 3 「窪地から戻って来る」という意味に関しては、婦人章43の訳注を参照。 4 この清めの行為は「タヤンムム*」と呼ばれる。
また、あなた方に対するアッラー*の恩恵と、あなた方が「私たちは聞き、従いました」と言った時にかれがあなた方と結んだ、かれとの確約¹を思い起こすがよい。そして、アッラー*を畏れ*よ。本当にアッラー*は、胸中にあるものをご存知になるお方なのだから。
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1 ここでの「確約」については、雌牛章40とその訳注を参照。
信仰する者たちよ、アッラー*のためによく(権利を)履行する者¹、正義の証人であれ。そしてある民に対する憎しみが、あなた方を公正の不履行へと向けてしまうようではならない。公正に徹するのだ。それがより敬虔さ*に近いのだから。そしてアッラー*を畏れよ。本当にアッラー*は、あなた方の行うことに通暁されているお方。
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1 この「よく(権利を)履行する者」とは、アッラー*の諸権利と、かれが自分に義務づけられたもの、および他人の諸権利を、よく果たす者のこととされる(アル=ジャザーイリー1:601参照)。
アッラー*は、信仰し、正しい行い*を行う者たちに、(天国を)お約束される。彼らには、お赦しと、この上ない褒美がある。
そして不信仰に陥り、われら*の(唯一性*を示す)御徴を嘘よばわりした者たち、それらの者たちは火獄の住人である。
信仰する者たちよ、あなた方に対するアッラー*の恩恵を思い起こすのだ。ある民があなた方に(支配の)その手を伸ばそうとし、それでかれが、その手をあなた方から阻まれた時のことを。そしてアッラー*を畏れ*よ。信仰者たちには、アッラー*にこそ全てを委ね*させるのだ。
アッラー*は確かに、イスラーイールの子ら*の確約¹をお取りになり、われら*²は彼らの内から十二人の族長を遣わした³。そして、アッラー*は彼らに仰せられた。「本当にわれは、あなた方と共にある⁴。もしも、あなた方が礼拝を遵守し*、浄財*を支払い、わが使徒*たちを信じ、彼らを助け、アッラー*によき貸付⁵をするのであれば、われは必ずやあなた方の悪行をあなた方のために帳消しにし、あなた方をその下から河川が流れる楽園に入れてやろう。あなた方の内、その後に及んで不信仰に陥る者*は、確かに真っ当な道から迷ってしまっているのである」。
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1 この「確約」については、雌牛章40とその訳注を参照。 2 第三人称から第一人称に突如変わっているが、いずれも主語はアッラー*。これは同一の対象が、異なる人称で入れ替わる、アラビア語独特の修辞法の一つであり、「イルティファート(転換)」と呼ばれるもの(アッ=スユーティー3:214‐219参照)。 3 ユダヤ教徒*の支族数と、同数の族長。彼らはそれぞれ自分たちの配下の者に対し、アッラー*とその使徒*ムーサー*、そして啓典への服従を命じた(ムヤッサル109頁参照)。 4 つまり、「わが守護と援助によって、あなた方と共にある」ということ(前掲書、同頁参照)。
われら*は、彼ら(ユダヤ教徒*)が確約を破棄したことゆえに彼らを呪い¹、彼らの心を硬化させた。彼らは(トーラー*の中の)御言葉を本来の形から改竄し、自分たちがそれ(トーラー*)によって戒められていたものの多く²を忘れた³。そして(使徒*よ、)あなたは、彼らの内の僅かなものを除いては、未だに彼らの裏切りを見出すのだ。ならば彼らを大目に見、見逃してやれ。本当にアッラー*は、善を尽くす者⁴たちをお好きになるのだから。
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1 「アッラー*の呪い」に関しては、雌牛章88の訳注を参照。 2 これは、預言者*ムハンマド*への信仰や、彼の特徴を人々に明らかにする義務などを含む、アッラー*との契約のことを意味するとされる(アル=クルトゥビー6:116参照)。イムラーン家章187も参照。 3 つまり、アッラー*との契約を放(ほう)ったらかしにし、それを実行しなかった(ムヤッサル109頁参照)。 4 「善を尽くす者」については、蜜蜂章128の訳注を参照。 5 この「確約」については、雌牛章40とその訳注を参照。
またわれら*は、「私たちはキリスト教徒*です」と言う者たちからも、その確約¹を取った。そして彼らも、自分たちがそれ(福音*)で戒められていたものの多くを、忘れてしまったのだ²。それで、われら*は復活の日*まで、彼らの間に敵意と憎悪を煽り立てた。アッラー*はやがて、彼らが成していたことを、彼らにお告げになろう。
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1 「戒められていたものの多く」と「忘れてしまった」については、アーヤ*13の訳注を参照。
啓典の民*よ、あなた方のもとには確かに、われら*の使徒*(ムハンマド*)が到来した。彼はその啓典の内の、あなた方が隠蔽していたものの多くを明らかにし、また(その他の)多くについては大目に見てくれる¹。アッラー*の御許からあなた方のもとに、光と解明の書²が確かにやって来たのである。
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1 彼らが隠蔽していたことの多くについて大目に見られ、宗教上の必要に迫られない限り、それを逐一(ちくいち)公にされることはない。あるいは、彼らの多くを大目に見られ、その罪をお咎(とが)めにはならない(アル=バイダーウィー2:307参照)。 2 この「光」には、「イスラーム*」「預言者*ムハンマド*」といった解釈がある。「解明の書」はクルアーン*のこと(アル=クルトゥビー6:118参照)。
アッラー*は、それ(クルアーン*)によってかれのお喜びを追求する者を、平安の道へとお導きになる。そしてそのお許しによって、彼らを闇から光¹へと救い出され、まっすぐな道へとお導きになるのである。
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1 この「闇」と「光」については、雌牛章257の訳注を参照。
「本当にアッラー*こそは、マルヤム*の子マスィーフ*(イーサー*)である」などと言った者たちは、確かに不信仰に陥ったのだ。(使徒*よ、)言ってやるがいい。「ならば、誰がアッラー*に対して、僅かばかりでも(力を)有するというのか?もしアッラー*が、マルヤム*の子マスィーフ*とその母、そして地上にあるもの全てを滅ぼすことを欲されたならば¹(、誰もどうすることも出来ない)。諸天と大地、その間にあるもの(全て)の王権は、アッラー*にこそ属するのだ。かれは、かれがお望みのものををお創りになるのだから。そしてアッラー*は、全てのことがお出来になるお方であられる」。
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1 もし彼らが主張するように、イーサー*がアッラー*であったとしたら、彼は自らとその母親、またその他、全てのものの運命を変えることが出来たであろう、ということ(アッ=タバリー4:2793‐2794参照)。
ユダヤ教徒*とキリスト教徒*は、言った。「私たちはアッラー*の子であり、その寵愛を受ける者である」。(使徒*よ、)言ってやるのだ。「ならば、なぜ、かれ(アッラー*)はあなた方の罪ゆえに、あなた方を罰されるのか?いや、あなた方はかれが創られたもの (である外の人間と同種)の、人間なのだ。かれは、かれがお望みになる者をお赦しになり、かれがお望みになる者を罰され給う。そして諸天と大地、その間にあるものの王権はアッラー*にこそ属し、かれにこそ還り所があるのだ」。
啓典の民*よ、あなた方のもとに(それ以前の)使徒*たちから期間をおいて、(真実と導きを)明示するわれら*の使徒*(ムハンマド*)が到来した。(それは)あなた方が、「私たちのもとには、吉報を伝える者も、警告を告げる者¹も、(誰も)来なかった」などと言わないようにするため。そして、あなた方のもとには確かに、吉報を伝え警告を告げる者が到来したのだ。アッラー*は、全てのことがお出来になるお方。
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1 「吉報を伝え、警告を告げる」については、雌牛章119の訳注を参照。
ムーサー*が、その民に(こう)言った時のこと(を思い起こさせるがよい)。「我が民よ、あなた方に対する、アッラー*の恩恵を思い出すのだ。かれが、あなた方の内に数々の預言者*を遣わされ、あなた方を王とし、全創造物のいかなる者にも与えられなかったものを、あなた方にお授けになった時のことを。¹
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1 雌牛章47「外(ほか)のいかなる者よりも引き立てた時のこと」の訳注も参照。
我が民よ、アッラー*があなた方に約束された聖なる地¹に入るのだ。そして背を向けて退散するのではない。そうすればあなた方は、損失者として帰って来ることになろう」。
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1 この「聖なる地」とは、エルサレムとその周辺のことと言われる(ムヤッサル111頁参照)。
彼らは言った。「ムーサー*よ、実にそこには強大な民がいる。そして本当に私たちは、彼らがそこから出て行くまで、絶対にそこには入らないぞ。もし彼らがそこから出て行くなら、まさしく私たちは(そこへ)入る者となろう」。
(アッラー*を)怖れる者たちの内、二人の男¹ーーアッラー*は彼らに、(アッラー*とムーサー*への服従という)恩恵を授けて下さったーーが、言った「門に入り、彼らのもとに突入するのだ。それで、もしそこに入ったなら、あなた方は必ずや勝利者となろう。ならばアッラー*にこそ、全てを委ねる*のだ。もし、あなた方が信仰者であるというなら」。
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1 先代・後代における多くの学者が、この二人を、ユーシュァ・ブン・ヌーン(ヨシュア)と、カーリブ・ブン・ユーフナー(カレブ)であるとしている(イブン・カスィール3:77参照)。
彼らは言った。「ムーサー*よ、彼らがそこにいる限り、私たちは絶対にそこには入らないぞ。ならば、あなたと、あなたの主*が行って、戦って来るがいい。実に私たちは、ここで留まる者となるから」。
彼(ムーサー*)は、(祈って、)申し上げた。「我が主*よ、本当に私は、自分自身と我が兄(ハールーン*)の外、何も有しておりません。ゆえに、わたしたちと放逸な民との間に、ご裁決をお下し下さい」。
かれ(アッラー*)は、仰せられた。「では、実にそこは彼らに四十年間禁じられ、彼らは(その間、)地を彷徨うことになろう。ならば、放逸な民のために悲しむのではない」。
(使徒*よ、)彼らにアーダム*の二人の子¹についての真実の話を、誦んで聞かせるがいい。二人が供物を捧げ、彼らの一人(ハービール)からは受け入れられ、もう一人(カービール)からは受け入れられなかった時のこと²。彼(カービール)は言った。「絶対に、お前を殺してやる」。彼(ハービール)は言った。「アッラー*は敬虔な*者たちからのみ、お受け入れになるのだ。
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1 ハービール(アベル)とカービール(カイン)の話である、と言われる(イブン・カスィール3:82、ムヤッサル112頁参照)。 2 大半の解釈学者によれば、ハービールは羊飼いで、カービールは農夫だった。そして自分の持ち物の内、最良の羊を供物として捧げたハービールがアッラー*に受け入れられ、一方質の低い作物を供物としたカービールは受け入れられなかったのだという(イブン・カスィール3:85参照)。
もしも、あなたが私を殺そうとして、その手を私に伸ばしたとしても、私はあなたを殺そうとして、我が手をあなたへ伸ばしはしまい。本当に私は、全創造物の主*アッラー*を、怖れているのだから。
本当に私は、あなたが私の罪とあなた自身の罪¹と共に(アッラー*の御許へと)戻り、業火の民の類いとなることを望んでいる²のだ。それが、不正*者たちへの応報である」。
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1 「私の罪」とは、ハービールを殺害した罪のことで、「あなた自身の罪」とは、それ以前の彼の罪である、というのが大半の解釈学者の見解(アル=クルトゥビー6:137参照)。 2 これは文字通りの願望ではなく、「私は、あなたを殺すよりは、自分があなたに殺されることを望む」という、二つの好ましくない物事の間の選択という意味合い(イブン・ジュザイ1:233参照)。
彼(カービール)の自我は、彼に自分の弟を殺害するよう仕向け、彼は彼(ハービール)を殺した。そして彼は、損失者の類となった。
そしてアッラー*は、その弟の亡骸をいかに埋めるかを示すため、地面を掘る、一羽のカラスを遣わされた¹。彼(カービール)は言った。「我が災いよ²!一体、私はこのカラスのようにして、自分の弟の亡骸を埋めることも出来なかったのか?」彼は、後悔する者の類いとなった。
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1 この事件は人類史上の殺人であったゆえ、カービールは遺体に対していかに対処すべきかを知らなかった。そこでアッラー*は彼に、カラスが仲間の遺体を地面に埋(う)めるのを示され、埋葬(まいそう)の仕方を教えられたのだという(アッ=タバリー4:2831‐2834参照)。 2 「我が災いよ」とは、心配や後悔の念を表すアラビア語表現(アル=バイダーウィー2:318参照)。
それ(殺人の罪)ゆえに、われら*はイスラーイールの子ら*に(こう)定めたのだ。誰か一人(の命)の代償としてでもなく、地上における腐敗*¹ゆえにでもなくして人一人の命を奪った者は、あたかも全人類を殺したようなものである²。また、それ(一人の命)を生かした者は、あたかも全人類を生かしたようなものである³。われら*の使徒*たちは確かに、明証⁴を携えて彼らのもとに到来したのだ。それから実に、彼らの多くはその後、地上で(アッラー*の法を侵犯することにおいて、)正しく度を越した者たちなのである。
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1 「命の代償」に関しては、雌牛章178-179の「キサース刑」のくだりを、また刑罰の対象となる「地上で腐敗*をもたらすこと」の具体的内容については、アーヤ*33を参照。 2 殺してはならない命を奪う者にとって、殺す相手に違いはなく、ただ自分の悪の欲望に従って、殺したい者を殺すに過ぎない。その意味で、彼は全人類を殺すのに等しい(アッ=サァディー229頁参照)。 3 たとえ殺したい相手がいても、アッラー*への恐れゆえに思いとどまり、彼を生かしておく者は、全人類の生命を生かしておくものに等しい。というのも彼はアッラー*への恐れゆえ、殺害を禁じられている、いかなる生命もうばったりはしないからである(前掲書、同頁参照)。 4 この「明証」は、使徒*たちの教えの正しさを示す、様々な証拠のこと(ムヤッサル113頁参照)。
アッラー*とその使徒*に戦いをしかけ、地上で腐敗*を働くことに奔走する者たち¹の応報は、殺されるか、(死刑の上に)磔にされるか、またはその手足²を交互に切断されるか、あるいはその土地から追放される³ことに外ならない。それは、現世における彼らへの屈辱である。そして来世においては彼らに、この上ない懲罰があるのだ。
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1 アッラー*に対して宣戦し、その敵意を露(あら)わにし、アッラー*とその使徒*の法に逆らう者たちや、強盗・殺人などで治安を乱す者たちのこと(ムヤッサル113頁参照)。 2 右手と左足のこと。もし再犯であれば、その時は左手と右足(前掲書、同頁参照)。 3 追放された先の土地で、悔悟するまで拘束される(前掲書、同頁参照)。
但し、あなた方が召し捕る前に悔悟した者たちは別である。ならば(信仰者たちよ)、アッラー*が赦し深いお方、慈愛深い*お方であることを知るがよい。
信仰する者たちよ、アッラー*を畏れ*、かれへのお近づきを求め¹、かれの道において奮闘するのだ。あなた方が成功するように。
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1 アッラー*への服従と、かれが喜ばれる行いによって「お近づき」を求めよ、ということ(前掲書、同頁参照)。
本当に、不信仰に陥った者*たちは、たとえ彼らに、復活の日*の懲罰をそれで償(って免除してもら)うため、地上にあるもの全てと、それと同様のものがもう一つあったとしても、それが彼らから受け入れられることはない。そして彼らには、痛烈な懲罰がある。
業火から抜け出したくても、彼らがそこから出ることは叶わない。そして彼らには、永劫の懲罰がある。
(イスラーム*法によって統治する者よ、)男女の窃盗¹犯は、彼らが(不当に)稼いだことの応報、アッラー*からの懲罰ゆえに、その手²を切断するのだ。アッラー*は、偉力ならびない*お方、英知あふれる*お方。
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1 イスラーム*法における窃盗とは、清浄な理性を備えた成人*が、一定の価値を有する他人の所有物(その所有権において疑念のないもの)を、その保管場所からこっそりと盗むこと。(クウェイト法学大全24:292参照)。 2 窃盗は基本的に、本人の自白か、一定の条件を満たした二人の証人による証言によって確定する。尚、初犯者は、右手を手首から切断される、というのが大半の学者の見解(前掲書、24:332-334、338参照)。
そして、その不正*(窃盗)の後に悔悟し(行いを)正した者は誰であろうと、本当にアッラー*は、その悔悟を受け入れて下さる。本当にアッラー*は、赦し深いお方、慈愛深い*お方であられるのだから。
(使徒*よ、)あなた¹は、諸天と大地の王権がアッラー*に属するということを知らないのか?かれはお望みの者を罰され、お望みの者をお赦しになるのだ。アッラー*は、全てのことがお出来のお方。
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1 この「あなた」については、雌牛章120の訳注を参照。
使徒*よ、「私たちは信仰した」と口先では言いつつも、その心は信仰していない者たちの内、不信仰へと急ぐ者たちが、あなたを悲しませるようであってはならない。また、嘘に耳を傾け、(余りの憎しみゆえに)あなたのもとには顔を出さず、(トーラー*の)言葉をその場所の(確定)後に改変する民に傾聴する¹、ユダヤ教徒*である者たち(の不信仰者*)も(同様である)。彼ら(その人々)は、言うのだ。「もし、あなた方が(ムハンマド*から)これを与えられたら、これを受け入れよ。そしてもし、これを与えられなかったら、用心するのだ²」。(使徒*よ、)誰であろうと、アッラー*がその試練をお望みになる者、あなたはその者のために、アッラー*に反して何一つ出来ないだろう³。それらの者たちは、アッラー*が(不信仰から)その心の浄化をお望みにはならなかった者たち。彼らには現世において屈辱があり、来世においてはこの上ない懲罰がある。
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1 この「民」とは、ここで「傾聴する」ユダヤ教徒*とは別のユダヤ教徒*(ムヤッサル114頁参照)。彼らに「傾聴する」とは、彼らの言うことを聞いて従うこと、あるいは(ムスリム*たちの間の)言葉を聞き回っては、彼らにそれを伝達すること(イブン・カスィール3:113参照)。 2 この「これ」とは、ユダヤ教徒*たちが自分たちの私欲に沿って、本来のトーラー*の法規定を改変したもののこと(ムヤッサル114頁参照)。マディーナ*のユダヤ教徒*らは、姦通(かんつう)の罪に対する罰として、トーラー*の中で定められていた石打ちの刑ではなく、罪人の顔を墨(すみ)で黒く塗り、鞭(むち)打ち刑に処すこととしていた。それで預言者*は姦通した者に対し、アッラー*の定めた刑罰である石打ち刑を実施したのだった。(ムスリム「固定刑の書」28参照)。姦通罪の刑罰に関しては婦人章15、及び、御光章2を参照。 3 使徒*だろうと、アッラー*が迷妄(めいもう)をお望みになる者を導くことは出来ない(ムヤッサル114頁参照)。
(彼らユダヤ教徒*は)嘘に耳を傾け、禁じられた物を貪る者たち。彼らが(裁決を求めて)あなたのもとに来たら、彼らの間を裁くか、あるいは彼らから背を向けよ。そして、あなたが彼らに背を向けるにしても、彼らは少しもあなたを害せないだろう。また、裁決するのであれば、公正さで彼らの間を裁け。本当にアッラー*は、公正な者たちをお好みになるのだから。
彼らは、自分たちの手許にはアッラー*の規定が記されたトーラー*があるというのに、一体どうしてあなたに裁決を求めるのか?それから彼らは、その(裁決が下された)後、それに背を向けるのである。それらの者たちは、信仰者などではない¹。
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1 彼らは自分たちの法については不信仰を犯しつつ、預言者*ムハンマド*の裁決にも背を向ける、という二重の罪を犯している(ムヤッサル115頁参照)。
本当にわれら*は、(アッラー*の法に)服従(イスラーム*)した預言者*たちが、それによってユダヤ教徒*である者たち*を裁く、導きと光を宿したトーラー*を下した。また、学識豊かな指導者¹たちや学者らも、自分たちがアッラー*の書(であるトーラー*が改変されることから)の保持を託されたがゆえに(、それで裁いていた)。そして彼らは、それに対する証人²だったのだ。ならば人々を恐れず、われ(アッラー*)を恐れよ³。そして、われの(規定という)御徴と引き換えに、僅かな値打ちのものを買ったりしてはならない。誰であろうと、アッラー*がお下しになったもので裁かない者、それらの者たちこそは不信仰者*なのである。
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1 「学識豊かな指導者」については、イムラーン家章79の訳注を参照。 2 それらの先代の預言者*たちが、トーラー*によってユダヤ教徒*を裁いていたということの「証人」(前掲書、同頁参照)。 3 彼らユダヤ教徒*の学者らは、彼らが知っている預言者*ムハンマド*の特徴や、姦通(かんつう)罪に対する本来の刑罰である石打ちの刑を公(おおや)けにすることにおいて、アッラー*以外の誰も恐れるべきではない、ということ(アル=クルトゥビー6:189参照)。
また、われら*はその(トーラー*の)中で、彼らに(こう)定めた。命には命で、目には目で、鼻には鼻で、耳には耳で、歯には歯で(報われる)。そして傷害はキサース刑¹(による報い)なのだ」。誰でも、それ(キサース刑の執行)を免じてやる者は、それが自分への罪滅ぼしとなる。そして誰であろうと、アッラー*がお下しになったもので裁かない者、それらの者たちこそは不正*者なのである。
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1 「キサース刑」については、雌牛章178の訳注を参照。
われら*は、それ以前に下されたトーラー*を確証するマルヤム*の子イーサー*に、彼ら(イスラーイールの子ら*の預言者*たち)の跡を継がせた。そしてわれら*は、導きと光を宿し、それ以前に下されたトーラー(*の正しさ)を確証する、敬虔*な者たちへの導きと訓戒としての福音*を、彼に授けたのだ。
福音*の徒は、アッラー*が(福音*の)その中で下されたものによって裁決せよ。誰であろうと、アッラー*がお下しになったもので裁かない者、それらの者たちこそは放逸な者である。
また(使徒*よ)、われら*はあなたに、それ以前の啓典(の正しさ)を確証し、かつ統制するもの¹として、真実の啓典(クルアーン*)を下した。ならばアッラー*がお下しになったものによって、彼らの間を裁くのだ。そして、あなたに到来した真理をよそに、彼らの欲望に従ってはならない。われら*はあなた方の各々(の共同体)に、法と(明白な)道筋を授けた¹。そして、もしアッラー*がお望みになったのであれば、あなた方を一つの(法に基づいた)共同体とされただろう。しかし(そうされなかったのは)、あなた方に授けたものにおいて、あなた方をお試しになるため²。ならば、善行を競い合うがよい。アッラー*にこそ(復活の日*)、あなた方全員の帰り所はあり、そしてかれは、あなた方が意見を異にしていたことに関して、あなた方にお告げになるのだから。
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1 アッラー*の法規定は、時代背景により異なるものではあったが、各時代において正義に叶うものだった。しかし宗教の根本的部分(タウヒード*など)は、不変である(アッ=サァディー234頁参照)。 2 各時代において、いかなる相違(そうい)もない同一の法ではなく、異なる法が定められたのは、人々が、法の変更がアッラー*の英知によるものであると信じ従うか、あるいは真理から脱線し、実践をおろそかにするかどうか、試練にかけるためだった(アル=バイダーウィー2:332参照)。
また(使徒*よ)、アッラー*のお下しになったもので彼らの間を裁き、彼らの私欲に従うのではない。そして、アッラー*があなたに啓示したものの一部から、彼らがあなたを惑わせ(、その実践を阻止し)ようとすることに用心せよ。もし彼らが(あなたの裁決から)背き去るなら、知るがよい、アッラー*は彼らの罪の一部ゆえに、彼らを罰することをお望みなのだということを。本当に人々の多くは、まさしく放逸な者たちなのである。
一体彼らは、ジャーヒリーヤ*の裁決を望むというのか?そして(アッラー*の法の正しさを)確信する民にとって、アッラー*よりも裁決に優れたお方があろうか?
信仰する者たちよ、ユダヤ教徒*とキリスト教徒*を盟友としてはならない¹。彼らの盟友は、彼ら自身なのだから。そして誰であろうと、あなた方の内で彼らを盟友とする者、その者はまさしく彼らの仲間である。本当にアッラー*は、不正*者である民をお導きにはならない。
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1 イムラーン家章28とその訳注も参照。
またあなたは、その心に病を宿す者たち¹が、「私たちは、自分たちに(状況の)暗転が訪れる²ことを怖れている」と言って、彼ら(の親愛)へと急ぐのを目にする。アッラー*はきっと勝利か、あるいはその御許から(新たな)局面をもたらされるだろう³。それで彼らは、自らの胸中に潜めていたことを後悔することになるのだ。
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1 この「心に病を宿す者たち」とは、信仰に疑念を抱き、かつユダヤ教徒*らに親愛の念を示していた偽信者*たちのこと(ムヤッサル117頁参照)。 2 つまりユダヤ教徒*らがムスリム*たちに勝利することで、彼ら自身もその被害にあってしまうこと(前掲書、同頁参照)。 3 この「勝利」は、マッカ開城*と、ムスリム*たちの不信仰者*たちに対する勝利を、「新たな局面」とは、啓典の民*の弱体化を原因づける出来事のことを指す、とされる(前掲書、同頁参照)。
信仰する者たちは(その時、偽信者*たちのことを知って、こう)言う。「一体これらの者たちは、本当に自分たちこそはあなた方の仲間であると、躍起になってアッラー*にかけて誓った者たちなのか?」彼らの行いは台無しとなり、損失者となってしまうのだ。
信仰する者たちよ、あなた方の内で自分の宗教(イスラーム*)から(不信仰へと)戻ってしまう者があっても、アッラー*はかれが愛で給い、その者たちもまた、かれのことを愛するような別の民を、やがて出現させ給おう。(彼らは)信仰者たちに対しては控えめで、不信仰者*たちには厳格であり、アッラー*の道において努力奮闘し、中傷する者の中傷など怖れない。それ¹はアッラー*が、かれのお望みになる者に授けられる、かれのご恩寵である。アッラー*は広量な*お方、全知者であられる。
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1 「それ」とは、「信仰者たちに対しては控えめで、・・・中傷など怖れない」という美点のこと(アッ=タバリー4:2933参照)
(信仰者たちよ、)あなた方の盟友とは、アッラー*とその使徒*であり、礼拝を遵守し*、(アッラー*に対して)恭順に浄財*を支払う、信仰する者たちに外ならない。
そして誰であろうと、アッラー*とその使徒*と信仰する者たちを盟友とする者は(アッラー*の党派であり)、本当にアッラー*の党派こそは勝利者なのである。
信仰する者たちよ、あなた方以前に啓典を授けられた者*たちと不信仰者*たちの内、あなた方の宗教を嘲笑と遊興の的とした者たちを、盟友とするのではない。そして、アッラー*を畏れ*よ。もし、あなた方が信仰者であるならば。
また(信仰者たちよ)、あなた方が礼拝へと呼びかければ、彼らはそれを嘲笑と遊興の的とした。それというのも彼らは、分別しない民であるからなのだ。
(使徒*よ、)言ってやるがいい。「啓典の民*よ、あなた方は、私たちがアッラー*と、私たちに下されたもの、(それ)以前に下されたもの¹を信じたというだけで、私たちを咎めるのか?あなた方の大半は、放逸な者であるのに」。
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1 つまり全ての啓典のこと(アル=バイダーウィー2:341参照)。
(預言者*よ、)言ってやるがいい。「アッラー*の御許において、それよりも悪い応報を(受ける者たちについて、)あなた方に教えようか?(それは、彼らの罪や嘘や傲慢さゆえに)アッラー*が呪い¹給い、お怒りになり、その一部を猿や豚にお変えになり²、ターグート*を拝した者」。それらの者たちは(来世で)より悪い居場所にあり、(現世では)真っ当な道から、より迷い去った者たちなのだ。
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1 「アッラー*の呪い」については、雌牛章88の訳注を参照。 2 雌牛章65、高壁章166も参照。
また、彼ら(偽信者*たち)はあなた方のもとにやって来れば、「私たちは信仰した」と言う。彼らは確かに、不信仰と共に(あなた方のもとに)入り、そして不信仰と共に(あなた方のもとを)出て行ったのだ。アッラー*は、彼らが隠していたことを最もよくご存知である。
(使徒*よ、)あなたは彼らの多くが罪と(法の)侵犯、禁じられた物を貪ることに急ぐのを目にする。彼らの行っていることは、何と実に醜悪なことか。
学識豊かな指導者¹たちや学者らはなぜ、罪深い言葉と禁じられた物を貪ることを彼らに止めさせないのか。彼らの成していたことの、何と実に醜悪なことか。
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1 「学識豊かな指導者」については、イムラーン家章79の訳注を参照。
ユダヤ教徒*は言った。「アッラー*の御手は、縛られている¹」。ーー縛られたのは彼らの手であり、彼らは彼らの言ったことゆえに呪われたのだーー。いや、かれ(アッラー*)の御手は大きく広げられており、かれはお望みのままにお恵みになる。あなたの主*の御許からあなたに下されたものは必ずや、彼らの多くに、放埓さと不信仰を上乗せする²。そして、われら*は復活の日*まで、彼らの間に(互いへの)敵意と憎悪の念を投じたのだ。彼らが(ムスリム*に対する策略の)戦争に火を点けようとするたび、アッラー*はそれをお消しになる。そして彼らは(依然)、地上で腐敗*を働いているのだ。アッラー*は、腐敗*を働く者たちをお好みにはならない。
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1 彼らは日照(ひで)りや旱魃(かんばつ)の時に、アッラー*が自分たちに対して出し惜(お)しみしている、などと言ったのだという(ムヤッサル118頁参照)。 2 彼らはクルアーン*を聞くことによって、放埓さと不信仰を増す。それは、あたかも健常者には有益な栄養を摂(と)ることで、病人の病状が更に悪化する状態のようである(アル=バイダーウィー2:346参照)。夜の旅章82、詳細にされた章44も参照(イブン・カスィール3:147参照)。そしてその原因は、啓示に背き、反対し、頑(かたく)なに拒(こば)み、間際(まぎわ)らしい嘘を用いて対抗したためなのである(アッ=サァディー237頁参照)。
もし啓典の民*が信仰し、(アッラー*を)畏れ*たなら、われら*は彼らのためにその悪行を覆い隠してやり、彼らを(来世において)安寧の楽園に入れてやるのだが。
また、もし彼らがトーラー*、福音*、彼らの主*から彼らのもとに下されたもの(クルアーン*)を実践したならば、その頭上からも足元からも、食べ(るための糧を授かっ)たであろう¹。彼らの中には中庸な集団²もある。そして彼らの多くの者たちの行いは、何と忌まわしいことか。
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1 アッラー*がお降らしになった雨の恵みと、それによって大地に生育する作物の恵みを授かる、という意味(アッ=タバリー4:2952、ムヤッサル119頁参照)。 2 「中庸な集団」とは、過激でもいい加減でもない。正しい集団のこと。ここでは啓典の民*の内、イスラーム*を信じた者たちのこと(アル=バガウィー2:68参照)。
(使徒*よ、)あなたの主*からあなたに下されたものを伝えよ。もしそうしなければ、あなたはかれのお言伝を伝えなかったことになる¹。そしてアッラー*が、あなたを人々から守って下さるのだ。本当にアッラー*は、不振後者*である民をお導きにはならない²。
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1 実際に預言者*ムハンマド*は、アッラー*の教えを余すことなく伝えた、ゆえに、彼が少しでも啓示を隠蔽(いんぺい)したと考える者は、アッラー*とその使徒*に対して大それた嘘を言ったことになる(ムヤッサル119頁参照)。 2 つまりアッラー*は彼らに、あなたを害するようなことは許されない、ということ(アッ=シャウカーニー2:85参照)。
(使徒*よ、)言ってやるがいい。「啓典の民*よ、トーラー*、福音*、そしてあなた方の主*からあなた方のもとに下されたもの(クルアーン*)を実践するまで、あなた方は(宗教とは)無関係なのだぞ」。そして、あなたの主*の御許からあなたに下されたものは必ずや、彼らの多くに、放埓さと不信仰を上乗せする¹。ならば、(使徒*よ、)不信仰者*である民ゆえに、悲しむのではない。
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1 アーヤ*64の、同様のくだりの訳注も参照。
本当に、信仰する者たち、ユダヤ教徒*である者たち、サービア教徒*たち、キリスト教徒*たちで、アッラー*と最後の日*を信じて正しい行い*を行う者、彼らには、怖れもなければ、悲しむこともない¹。
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1 「怖れもなければ、悲しむこともない」については、雌牛章38の訳注を参照。
われら*はイスラーイールの子ら*の確約¹を確かに取り、彼らに数々の使徒*を遣わした。彼ら自身の気に入らないものを携えた使徒*が、彼らのもとに到来する度、彼らは(使徒*たちの)ある一派を嘘つきとしたのであり、また別の一派は殺害するのだった。
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1 この「確約」に関しては、雌牛章27の「契約」に関する訳注を参照。
また、彼らは試練¹などないだろうと思い込み、(導きに対して)盲目になり、聾になった²。その後アッラー*は彼らの悔悟をお受け入れになったが、それから彼らの多くは(再び、導きに対して)盲目になり、聾になったのだ。アッラー*は、彼らの行うことをご覧になるお方。
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1 この「試練」とは、自分たちの罪深さゆえに、罰されること(ムヤッサル120頁参照)。 2 「盲目」「聾」については、雌牛章7、18、家畜章50、フード*章20,24の訳注を参照。
「本当にアッラー*、かれは、マルヤム*の子マスィーフ*のことである」と言った者は、確かに不信仰に陥ったのだ。マスィーフ*は、(こう)言ったというのに。「イスラーイールの子ら*よ、我が主*であり、あなた方の主*であるアッラー*を崇拝*せよ。本当に、アッラー*に対してシルク*を犯す者は誰であろうと、アッラー*が彼に天国を禁じられるのだ。そして、その住処は(地獄の)業火である。不正*者たちには、いかなる援助者もない」。
「本当にアッラー*は、三位の内の一つである¹」と言った者は、確かに不信仰に陥ったのだ。そして、ただ一つの崇拝*すべき存在(アッラー*)の外には、いかなる神²もない。もし彼らが(そのように)言うのを止めないならば、痛ましい懲罰は必ずや、彼らの内の不信仰に陥った者*たちに降りかかるであろう。
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1 キリスト教*の、三位一体論のこと。その具体的意味には、「父なる神性・息子なる神性・父から子へとほとばしった御言葉の神性という、三つの神性論」のことであるとか、アッラー*と共に、イーサー*とマルヤム*を神としたことである、という説がある(イブン・カスィール3:158参照)。 2 「神」に関しては、雌牛章133の訳注を参照。
一体、彼ら(キリスト教徒*)はアッラー*に悔悟し、かれにお赦しを乞わないのか?アッラー*は赦し深いお方、慈愛深い*お方であるというのに。
マルヤム*の子マスィーフ*は、彼以前にも数々の使徒*が滅び去って行った、一人の使徒*に過ぎない。また彼の母親はよき信仰者¹であり、二人とも食事を口にしていたのだ²。見よ、われら*が彼らに対して、いかに御徴³を明示するかを。それから見よ、彼らがいかに(真理から)背かされているかを。
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1 あるいは、 「大そうな正直者」(アル=バガウィー2:72参照)。 2 つまり彼ら二人は、他の人々同様、食べ物を必要とする人間であった。そして生きるために食べなければならない存在は、神などではない(ムヤッサル120頁参照)。 3 この「御徴」は、アッラー*の唯一性*を証明し、彼らが預言者*たちについて主張している間違いを示す証拠のこと(前掲書、同頁参照)。
(使徒*よ、)言ってやるがいい。「一体あなた方は、アッラー*をよそに、あなた方に対して害も益も有さないものを崇拝*するというのか?アッラー*こそはよくお聞きになるお方、全知者であるというのに」。
(使徒*よ、)言ってやれ。「啓典の民*(キリスト教徒*)よ、あなた方の宗教において不当にも度を越してはならない。また過去に迷い去り、多く(の人々)を迷わせ、真っ当な道から迷い去った民¹の私欲に従ってはならない」。
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1 この「民」とは、ユダヤ教徒*のこと(ムヤッサル120頁参照)。
イスラーイールの子ら*の内の不信仰だった者*たちは、ダーウード*とマルヤム*の子イーサー*の舌によって呪われた¹のである。それは彼らが反抗し、(アッラー*が禁じられた物事を)侵犯していたからなのだ。
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1 つまりアッラー*は、ダーウード*とイーサー*に下された啓典の中で、イスラーイールの子ら*の不信仰者*が、アッラー*のご慈悲から遠ざけられてしまったと、仰せになった(ムヤッサル121頁参照)。
彼らは自分たちがしていた悪事¹を互いに禁じ合わなかった。彼らがしていたことの、何と実に醜悪なことか。
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1 「悪事」については、イムラーン家章104の訳注を参照。
(使徒*よ、)あなたは彼ら(ユダヤ教徒*)の多くが、不信仰に陥った者*たちを盟友とするのを目にする。彼らが自らのために成したことの、何と実に醜悪なことか。アッラー*は(それゆえに)彼らに激怒し給い、彼らは懲罰の中に永遠に留まるのだ。
そして、もし彼らがアッラー*と預言者*と、彼に下されたものを信じていたら、彼ら(不信仰者*)のことを盟友とはしなかったであろう。しかし彼らの多くは、放逸な者たちなのである。
(使徒*よ、)あなたは、信仰する者たちに対して最も敵意の激しい人々が、ユダヤ教徒*とシルク*を犯す者たちであることを、必ずや見出すのだ。また、信仰する者たちに対し、彼ら(人々)の内で最も親愛の念を示す者たちが、「本当に私たちは、キリスト教徒*です」と言う者たちであることを、必ずや見出す。それは彼らの中には学僧や修道僧がおり、彼らが高慢ではないためである。¹
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1 一説に、このアーヤ*は、イスラーム*を受容した当時のキリスト教国エチオピア王アン=ナジャーシーらに関して下った(アン=ナサーイー11148参照)。
また、彼らが使徒*に下されたもの(クルアーン*)を聞く時、あなたは彼らの眼が、彼らが知った真理ゆえに涙で溢れるのを目にする。彼らは言う。「我らが主*よ、私たちは信仰しました。ゆえに私たちを、証人たちと共に書き留めて下さい¹。
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1 「証人たち」とは、預言者*ムハンマド*の共同体のこと(ムヤッサル121頁参照)。詳しくは、雌牛章143の訳注を参照。
また私たちが、アッラー*と、自分たちのもとに到来した真理を信仰しないとは、どういうことでしょうか?私たちは私たちの主が、自分たちを正しい者*たちと共に(天国に)入れて下さることを望んでいますのに」。
そしてアッラー*は、彼らが言った(その)ことゆえに、彼らをその下から河川が流れる楽園でお報いになった。彼らはそこに永遠に留まる。そしてそれは、善を尽くす¹者たちの褒美なのである。
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1 それがどこであろうと、そして誰のもとにあろうと、真理に従うことにおいて「善を尽くす」こと(イブン・カスィール3:169参照)。蜜蜂章128の訳注も参照。
また、不信仰に陥り、われら*の御徴(アーヤ*)を嘘とする者たち、それらの者たちは火獄の住人である。
信仰する者たちよ、アッラー*があなた方にお許しになった善きものを、禁じるのではない。また、(禁じられた物事を)侵犯してもならない¹。本当にアッラー*は、侵犯する者たちをお好きではないのだから。
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1 同様の意味として、アーヤ*103、家畜章136以降、高壁章31も参照。このアーヤ*は一説に、禁欲を意図して去勢(きょせい)や放浪をしたり、肉食・結婚・睡眠などを避(さ)けたりしようとした教友*たちに関して下ったと言われる(イブン・カスィール3:169参照)。
また(信仰者たちよ)、アッラー*があなた方に授けられた、合法な善きものから食べよ。そして、あなた方が信じているアッラー*をこそ、畏れる*のだ。
アッラー*はあなた方を、あなた方の宣誓における軽はずみさ¹ゆえに罰せられたりはしない。しかしかれは、あなた方が宣誓を確定し(た後、それを遂行しなかっ)たことに対して、罰せられる。ならば、その罪滅ぼしは、あなた方の土地の人々に食べさせる平均的なもので、十人の貧者*に食物²を施すことか、または彼らに対する衣服の提供、あるいは首³一つの解放(の内、いずれか一つ)である。(それらのいずれも)見出せない者⁴は誰でも、三日間の斎戒*(が義務づけられる)。それが、あなた方が誓った際の、あなた方の宣誓(の不履行)に対する罪滅ぼしである。そして(ムスリム*たちよ)、宣誓を守る⁵のだ。そのようにアッラー*は、あなた方が感謝するようにと、あなた方に(法規定に関する)御徴を明示される。
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1 「宣誓における軽はずみさ」については、雌牛章225の訳注を参照。 2 その分量は、ハナフィー法学派*以外の四大法学派*では一人につき一ムッド*、ハナフィー法学派では半サーア*、物によっては一サーア*、あるいはその相当価格という説もあり(クウェイト法学大全35:101-102参照)。 3 この「首」については、婦人章92の訳注を参照。 4 それら三つの選択の内、いずれも物質的に不可能である場合、ということ(イブン・カスィール3:176参照)。 5 軽はずみな宣誓を避(さ)け、もし何かを誓った場合には、それがイスラーム*法に反しない限りにおいて実行すること。また、宣誓を破る際には、その代償を払うこと(ムヤッサル122頁参照)。
信仰する者たちよ、酒*、賭け事、(アッラー*を差しおいて崇めるために)立てられたもの、賭矢を引くこと¹は、シャイターン*の行いであり、穢れに外ならない。ゆえにあなた方が成功するように、それ(ら)を避けるのだ。
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1 「立てられたもの」と「賭け矢を引くこと」については、アーヤ*3の訳注を参照。
まさにシャイターン*は酒*と賭け事で、あなた方の間に敵意や憎悪をもたらし、あなた方をアッラー*の唱念や礼拝から妨害したいのである。では一体、あなた方は(それらを)止めるのか?¹
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1 「あなた方は・・・止めるのか?」は、表面上は疑問形だが、意図されているのは命令(アル=バガウィー2:81参照)。クルアーン*において、酒*と賭け事が禁止されていった経過に関しては、雌牛章219の訳注を参照。
また、アッラー*に従い、使徒*(ムハンマド*)に従え。そして、用心するのだ。もしあなた方が背を向けても、われら*の使徒*の義務は、(真理を)解明する(啓示の)伝達のみであるということを知っておくがよい。
信仰して正しい行い*を行った者たちには、彼らが食べたものに関して罪はない¹。彼らが(アッラー*を)畏れ*、信仰して正しい行い*を行い、更に畏れ*て信仰し、それからまた畏れ*て善を尽くした²のならば。アッラー*は、善を尽くす者³たちをお好みになる。
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1 このアーヤ*は、まだ酒*が禁じられてはいなかった頃に飲酒したことがあり、かつ酒*が完全に禁じられる前に他界したムスリム*に関して下ったとされる(アル=ブハーリー2464参照)。 2 つまり罪深い行いを避(さ)け、アッラー*を正しく信じ、その信仰が義務づける正しい行い*に励(はげ)み、創造主の崇拝*と被造物への益において善を尽くし、更にはその状態を死ぬ時まで継続すること。また、過去に禁じられたことを犯していても、その罪を認めて悔悟し、アッラー*を畏れ*、信じ、正しい行い*に努めれば、罪のお赦しを頂けるのである(アッ=サァディー243頁参照)。 3 「善を尽くす者」については、蜜蜂章128の訳注も参照。
信仰する者たちよ、アッラー*は必ずや、あなた方の手と槍で捕獲する狩猟物の何か¹によって、あなた方を試される。それはアッラー*が、まだ見ぬままにかれを怖れる²者を、如実に表すためなのである。そして誰であろうと、その後に(法を)侵犯する者、彼には痛ましい懲罰がある。
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1 「狩猟物の何か」とは陸上生物を、手で捕まえられるものは小さいもので、槍で捕まえられるものは、大きいものを指す、とされる(ムヤッサル123頁参照)。また、この「手」には、他の身体器官や、紐(ひも)、罠(わな)、網(あみ)などによるものも、そして「槍」には、弓矢なども含まれる。尚、陸上生物の狩猟が禁じられるのは、イフラーム*に入っている時と、聖域にいる時である(アル=クルトゥビー6:299‐300参照)。 2 「まだ見ぬままに・・・」については、預言者*たち章49の訳注を参照。
信仰する者たちよ、あなた方がイフラーム*(あるいは聖域)にある時には、狩猟物¹を殺してはならない。そしてあなた方の内、誰であろうと(それらを)故意に殺してしまった者、(その者には)報いーーカァバ神殿*²に届く供物として、あなた方の内の公正な男性二人が判定した、彼が殺したのと同様の家畜³ーーか、罪滅ぼしーー貧者*たちに食を施すか、あるいは斎戒*でその代わりとすること⁴ーーが(義務として)ある。(それらは、)自分の(した)ことの悪を味わうため。アッラー*は、(禁じられる前に)やってしまったことを、大目に見給う。そして誰であろうと、(禁じられた後、意図的にそれを)繰り返す者、アッラー*は彼に報復し給う。アッラー*は偉力ならびなき*お方、報復の主*なのだ。
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1 この「狩猟物」については、アーヤ*94とその訳注、アーヤ*96も参照。 2 ここではマッカ*の全聖域の意(ムヤッサル123頁参照)。 3 公正な男性二人が判定する「同様の家畜」とは、例えば、ダチョウにはラクダ、野ロバ・野牛には牛、鹿には羊、といったように、体の作りや姿が似ているもの(アル=クルトゥビー6:310参照)。 4 家畜の肉は聖域で屠(ほふ)られた後、そこで貧しい人々に施される。またその代わりに、見積もった家畜の価格に相当する食べ物を、彼らに施すことも出来るし、あるいは一人分の食べ物を一日分と見積もり、斎戒で償(つぐな)うことも可能(ムヤッサル123頁参照)。法学派ごとの詳細は、クウェイト法学大全2:186‐188を参照。
(ムスリム*たちよ、)あなた方には、あなた方(定住者)と旅行中の者への利として、海での狩猟物とその食物¹が許された。また、陸上の狩猟物は、あなた方がイフラーム*の状態にある限り、あなた方には禁じられた。あなた方が(復活の日*に)その御許へと召集される、アッラー*を畏れる*のだ。
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1 この「海」は、湖、河川など、あらゆる水域を指すとされる(アッ=タバリー4:3040参照)。また、ここでの「狩猟物」とは生け捕りにしたもの、「食物」とは、既に死んでいるものであるとされる(ムヤッサル124頁参照)。
アッラー*は、聖殿であるカァバ*、神聖月*、供物、首飾り¹を、人々への拠り所とされた²。それはあなた方が、アッラー*が諸天にあるものと大地にあるもの(全て)をご存知になり、またアッラー*が、全てのことをご存知のお方であることを知るためなのである。
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1 「供物」と「首飾り」については、アーヤ*2の訳注を参照。 2 アーヤ*2も参照。アッラー*はこれらのものを、人々の利益・生活・安全を守る、「拠り所」とされた。イスラーム*が到来する以前から、カァバ神殿*は人々の畏敬(いけい)の的であり、そこに身を寄せた者は生命の安全を保障された(雌牛章125も参照)。また、神聖月*も流血を禁じられた月であったし、カァバ神殿*で捧げるための犠牲の 家畜や、そのために特別に飾り付けられた家畜を率いて旅する者は、その旅行中に危害を加えられることがなかった(アル=クルトゥビー6:325‐326参照)。
(人々よ、)知るがよい、アッラー*が厳しく懲罰されるお方であることを。またアッラー*が、赦し深いお方、慈愛深い*お方であることを。
使徒*の義務は、(啓示の)伝達に過ぎない。そしてアッラー*は、あなた方の露わにすることも、隠すことも、ご存知である。
(使徒*よ、)言ってやるがいい。「悪と善は同等ではない。たとえ悪の多さが、(人間よ、)あなたを惹きつけたとしても。ならばーー澄んだ知性の持ち主たちよーー、あなた方が成功するように、アッラー*を畏れ*るのだ」。
信仰する者たちよ、それが自分たちに明らかにされたら、却ってあなた方を害する物事について、尋ねるのではない。そして、クルアーン*が下っている時にその(ような)ことについて尋ねれば、それはあなた方に明示されるのだぞ¹。アッラー*はそれらのことを、大目に見られた。アッラー*は赦し深いお方、寛大な*お方。
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1 まだ起こってもいないことや、それを尋ねれば結果的に厳しい法規定を招いてしまいそうなことなど、そもそも命じられてはいない宗教的諸事について尋ねてはならない、ということ(ムヤッサル124頁参照)。
あなた方以前の民は確かに、(自分たちの使徒*に対して)その(ような)ことを尋ねたのであり、その後それに対する否定者となった¹のだ。
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1 いざ、その質問がきっかけとなって何かが義務づけられると、それを拒(こば)んだ、の意(前掲書、同頁参照)。
アッラー*が、バヒーラ、サーイバ、ワスィーラ、ハーミー¹(を偶像への捧げものとし、その利用を禁止すること)を定められたのではない。しかし不信仰に陥った者*たちが、アッラー*に対して嘘を捏造するのだ。そして彼らの大半は、分別することがない。
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1 「バヒーラ」とは、多くの子を出産したもので、耳に切れ目を入れた雌ラクダのこと。「サーイバ」は、偶像など、アッラー*以外のもののために放牧されるもの。「ワスィーラ」は連続して雌を出産したもの。「ハーミー」は、沢山の子をもうけた雄ラクダのことである、と言われる(ムヤッサル124頁参照)。家畜章136、138-139なども参照。
また、彼らは「(法規定を明らかにするため、)アッラー*が下されたものと、使徒*のもとに来るのだ」と言われれば、(こう)言った。「私たちが見出したご先祖様のやり方¹だけで、私たちには十分」。一体、彼らの先祖は何も知らず、導かれてもいなかったとしても、(そんなことを言うの)か?
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1 「ご先祖様のやり方」については、雌牛章170の訳注を参照。
信仰する者たちよ、あなた方自身に専念せよ¹。あなた方が導かれれば、迷った者があなた方を害することはない。アッラー*の御許こそが、あなた方全員の帰り所なのであり、かれは、あなた方にお告げになるのだから。
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1 たとえ他人が自分に同調しなくても、アッラー*への服従行為に勤(いそ)しみ、罪を遠ざけ続けることに努力せよ、ということ(ムヤッサル125頁参照)。ただし、このことが、善事を命じ、悪事を禁じる努力の放棄(ほうき)を意味するわけではない(アッ=サァディー246頁参照)。
信仰する者たちよ、あなた方の内の誰かに死が訪れ(そうになっ)たら、遺言の際には、あなた方の内の公正さを備えた男性二人が、あなた方の間の証言¹(をせよ)。あるいは、あなた方以外の二人が、(証言するのだ)²。もし、あなた方が地上を旅しており、死の不幸があなた方に降りかかったならば(、そうせよ)。もし、あなた方が(彼らの証言に)疑惑を抱くのであれば、あなた方は礼拝後³に彼ら二人を引き止める。そして彼ら二人は、アッラー*において(こう)誓うのだ。「私たちは、これ(誓い)と引き換えに代価を得たりはしない。たとえ親戚であったとしても(、彼らに偏った誓いなどしない)。また、私たちはアッラー*の証言を、隠蔽したりはしない。本当に私たちは、そうすれば、まさに罪悪者となってしまう」。
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1 遺言の内容を証言すること、とされる(アッ=サァディー246頁参照)。 2 大半の解釈学者によれば、「あなた方の内の・・・」とはムスリム*のことで、「あなた方以外の・・・」とは、ムスリム*以外の者である(アル=バガウィー2:97参照)。ただしムスリム*以外の者を証人とすることが出来るのは、その必要があり、ムスリム*が不在の場合に限るとされる(アッ=サァディー246頁参照)。 3 この「礼拝」は、特にアスル*の礼拝のことを指すとされる(ムヤッサル125頁参照)。イブン・カスィール*によれば、礼拝後、人々が集まっている中で証言させることが目的なのだという(3:217参照)。
そして、彼ら(証人)二人が罪に値すること¹が露見したならば、(遺産への)権利がある者たちの内、最も(遺産に)優先される別の二人が彼ら(証人)二人の場に立ち、アッラー*において(こう)誓う。「私たちの証言こそは、彼らの証言よりも(受け入れられるに)相応しいものである。また、私たちは(自分たちの証言において、権利を)侵犯してはいない。本当に私たちは、そうすれば、まさに不正*者となってしまう」。
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1 この「罪」とは、証言や遺言における不実さのこと(ムヤッサル125頁参照)。
それ(らの証言についての規定)が、彼らが(真実に基づいた)本来の形で証言し、あるいは彼らの(嘘の)誓いの後、(その)誓いが、(遺産の権利人たちによって)突き返されてしまうことを怖れ(るようにな)るのに、最適なのである。アッラー*を畏れ*、(かれの訓戒を)聴くのだ。アッラー*は、は、放逸な民をお導きにはならないのである。
(人々よ、)アッラー*が使徒*たちを召集され、(彼らに)こう仰せられる(復活の)日*のこと(を、思い起こすのだ)。「あなた方は、(民をアッラー*の教えに招いた時、)どのような返答を受けたのか?¹」彼らは申し上げる。「私たちは、全く存じ上げません²。あなたこそは、不可視の世界*を熟知されるお方なのですから」。
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1 全知者であられるアッラー*が復活の日*にされる質問は、回答者に教示を求めることを目的にしているのではない。それは不信仰者*に対する、質問の形によるお咎(とが)めとお叱(しか)りを意図しているのであり、彼らにとっての一種の罰なのである。(アッ=シャンティー2:6‐7参照)。高壁章8の訳注も参照。 2 「私たちは人々の胸の内や、私たちが民のもとを去った後、彼らがやったことを知りません」という意味とされる(ムヤッサル126頁参照)。
アッラー*が、(こう)仰せられた時のこと(を思い起こすがよい)。「マルヤム*の子イーサー*よ、あなたとあなたの母に対する、わが恩恵を思い出すのだ。われがあなたを、聖霊¹によって支えた時のこと。あなたは揺りかごの中(から)でも、壮年になって(から)も、人々に語りかける。また、われがあなたに、書²、英知、トーラー*、福音*を教えた時のこと。また、あなたがわが許しによって、泥土で鳥の形のようなものを作り、あなたがそこに息を吹き込んで、それがわが許しによって(本物の)鳥となる時のこと。また、あなたがわが許しにより、生まれつきの盲人とライ病患者³を癒す(時のこと)。また、あなたがわが許しによって、死人を(蘇らせ、墓場から)出す時のこと。また、われがイスラーイールの子ら*を、あなたが明証⁴を携えて彼らのもとに到来した時、あなた(の殺害)から阻んだ時のこと。彼らの内の不信仰だった者*たちは、(こう)言ったのだ。『これは、紛れもない魔術に外ならない』。
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1 この「聖霊」については、雌牛章87の訳注を参照。 2 この「書」については、イムラーン家章48の訳注を参照。 3 「ライ病患者」については、イムラーン家章49の訳注を参照。 4 この「明証」は、彼の預言者*性を裏付ける、数々の驚くべき奇跡のこと(ムヤッサル126頁参照)。
また(イーサー*よ)、われが(あなたの)弟子たち¹に、われとわが使徒を信じよ、と示した時のこと(を思い出せ)。彼らは申し上げた。『私たちは信じました。私たちが服従する者(ムスリム*)であることを、証言して下さい』」。
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1 「弟子たち」については、イムラーン家章52の訳注を参照。
(イーサーの)弟子たちが、(こう)言った時のこと(を思い起こすがよい)。「マルヤム*の子イーサー*よ、あなたの主*は、天から私たちに食卓を下すことが出来ますか?」彼(イーサー*)は言った。「アッラー*を畏れ*よ。もし、あなた方が信仰者であるならば」。
彼らは言った。「私たちはそこから食べ、私たちの心を安らげたいのです。また、あなたが私たちに、確かに真実を語ったことを知り、その証人¹になりたいのです」。
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1 アッラー*が、自らの唯一性*と全能性に対する証拠として、またイーサー*の預言者*性を確証する証拠として、食卓をお下しになることへの「証人」、という意味(アッ=タバリー4:3115参照)。
マルヤム*の子イーサー*は、申し上げた。「アッラー*よ、我らが主*よ、私たちに天から食卓をお下し下さい。それは私たちの代と後代の者たちにとっての祭日となり、あなたからの御徴となるものです。そして私たちに、糧をお授け下さい。あなたは、最もよく糧を授けられるお方です」。
アッラー*は仰せられた。「本当にわれは、それをあなた方に下す者である。そして誰であろうと、その後あなた方の内で不信仰に陥る者*、本当にわれは彼を、全創造物のいかなるものも罰することのない(ような)罰し方で、罰するであろう」。
アッラー*が(復活の日*、こう)仰せられる時のこと(を、思い起こさせよ)。「マルヤム*の子イーサー*よ、一体あなたは人々に『アッラー*とは別に、私と私の母親も二つの神¹とせよ』などと言ったのか?²」彼は申し上げる。「あなたに称え*あれ。私は、自分に権利がないようなことを言うはずがありません。もし、そう言ったとしたら、あなたはそのことについて既にご存知です。あなたは私自身の内にあるものをご存知ですが、私はあなたご自身の内にあるものについて、存知じ上げないのですから。あなたこそは、不可視の世界*を熟知されるお方であられます。
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1 「神」については、、雌牛章133の訳注を参照。 2 復活の日*の使徒*への質問については、アーヤ*109の訳注を参照。
私は彼らに、あなたが命じられたこと、つまり我が主*であり、あなた方の主*であられるアッラー*を崇拝せよ、ということしか言っておりません。また私は、彼らの間に留まっている限り、彼らに対しての証人でした。そして、あなたが私をお召しになってからは¹、あなたこそが彼らへの監視者だったのです。あなたは、全てのことの証人であられます。
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1 イーサー*が殺されてはいないことについては、イムラーン家章55、婦人章157-159とその訳注を参照。
もしあなたが彼らを罰されるとしても、実に彼らは、あなたの僕たちです¹。そして彼らをお赦しになるとしても、本当にあなたこそは偉力ならびない*お方、英知あふれるお方です」。
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1 アッラー*こそが、ご自身のしもべたちの状況を最もよくご存知であり、その公正さによって彼らを、お望みのままに処されるお方である(ムヤッサル127頁参照)。
アッラー*は仰せられる。「これは、正直者たちを、自分自身の正直さ¹が益する(復活の)日*。彼らには、彼らがそこにずっと永遠に住むことになる、その下から河川が流れる楽園がある。アッラー*は彼らをお喜びになり、彼らもアッラー*に満足する。それはこの上ない勝利なのだ」。
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1 アッラー*のみを崇拝*し、その法を守り、自らの意図と言動において真摯(しんし)だったこと(ムヤッサル127頁参照)。
アッラー*にこそ諸天と大地と、そこにあるものの王権が属する。そしてかれは、全てのことがお出来になるお方なのである。
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