ترجمة معاني سورة الرعد
باللغة اليابانية من كتاب الترجمة اليابانية - سعيد ساتو
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アリフ・ラーム・ミーム・ラー¹。それは啓典の御徴(アーヤ*)。そして(使徒*よ、)あなたの主*からあなたに下されたものは、真理である。だが、人々の大半は信じない。
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1 これらの文字については、頻出名・用語解説「クルアーンの冒頭に現れる文字群*」を参照。
アッラー*は諸天を、いかなる柱もなしにお上げになったお方。あなた方は、それを目にしている¹。それからかれは、御座²にお上がりになった。また、太陽と月を(人々の利益のために)仕えさせられた。(その)いずれも、定められた時期(である復活の日)まで運行し続ける。かれは(現世と来世の)物事を司られる。あなた方が自分たちの主との拝謁を確信するため、かれは(ご自身の御力と唯一性*を示す)御徴を明らかにされるのだ。
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1 本文訳のような解釈以外にも、「アッラー*は諸天を、あなた方に見える柱もなく、お上げになったお方」という解釈もある(イブン・カスィール4:429参照)。
また、かれは地を広げ、そこに堅固な山々と河川を置かれ、そこに全ての果実から、二つの種類¹をお創りになったお方。かれは夜を昼に覆わせられる²。本当にそこにはまさしく(アッラーの唯一性*と御力を示す)、熟考する民への御徴があるのだ。
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1 甘いものと酸っぱいもの、白いものと黒いもの、熟れたものと乾燥したもの、小さいものと大きいものなどの「二つの種類」(アル=クルトゥビー9:281参照)。尚、これはイブン・アティーヤ*によれば、どんな果実でも二種類はあるということを示しているのであり、それ以上の種類があってもアーヤ*の意味とは矛盾しない(3:293参照)。 2 イムラーン家章27の、同様のくだりに関する訳注も参照。
また大地には、隣接し合った(異なる性質¹の)土地、(その内の肥沃な土地にできる)葡萄園、(種々の)農作物、同根で多幹のナツメヤシの木と、同根で多幹ではないものがある。(それらは皆)同一の水を与えられている。そして、われら*はその内のあるものを、別のものよりも果実において引き立てるのだ²。本当にその中にはまさしく(アッラー*の御力と唯一性*を示す)、分別する民への御徴がある。
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1 植物の生息する肥沃な土地もあれば、不毛の土地もある(ムヤッサル249頁参照)。 2 形、大きさ、匂い、味などにおいて、「引き立てる」(アル=バイダーウィー3:318参照)。
(使徒*よ、)あなたが(、これらの御徴をそっちのけにした人々の不信仰を)驚くのなら、(更に)驚くべきは、「(死んで)土となった後、本当に私たちが新たに創造¹されるとでもいうのか?」という彼らの言葉である。それらの者たちは、自分たちの主*を否定した者であり、それらの者たちは(復活の日*に、)その首に枷が(かけられて)ある者なのである。そしてそれらの者たちは、(地獄の)業火の住人であり、彼らはそこに永遠に留まる者たちなのだ。
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1 「新たな創造」とは、復活のこと(ムヤッサル249頁参照)。
また、彼ら(不信仰者*たち)はあなたに、善よりも先に悪を(もたらすことを)性急に求める¹。彼ら以前(の不信仰者*たち)にも確かに、懲罰が降りかかってきたというのに。(使徒*よ、)本当にあなたの主*は人々が不正*を行っても(悔悟するならば)、彼らにとってまさしく赦しの主なのである。そして本当にあなたの主*は(不信仰と迷いとアッラー*への反抗に固執する者に対し)、実に懲罰が厳しいお方なのだ。
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1 この「善」は無事、あるいは安全と善が望まれる、信仰のこと。「悪」は懲罰。彼らはひどい不信仰ゆえ、自分たちに懲罰を下すよう挑んだものだった(アル=クルトゥビー9:284参照)。家畜章57-58、戦利品*章32、ユーヌス*章50、フード*章8、夜の旅章92、巡礼*章47、蜘蛛章53-54、サード章16、相談章18、階段章1-2なども参照。
また、不信仰に陥った者*たちは言う。「どうして彼(ムハンマド*)に、その主*から御徴¹が下されないのか?」(使徒*よ、)あなたは警告者でしかない。そしていかなる民にも、(その)導き手がいる。
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1 この「御徴」は、ムーサー*の杖、サーリフ*の雌ラクダのような、目に見える奇跡のこと(ムヤッサル250頁参照)。
アッラー*は、いかなる女性が(胎内に)宿すものも、子宮が減じるのも、増えるもの¹もご存知である。そして全ての物事は、かれの御許で(一定の)量に(定められて)ある。
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1 「子宮が減じるもの」とは堕胎(だたい)や、通常の出産期間よりも早い出産のことを表し、「増えるもの」は通常の出産期間よりも遅い出産のことを指すとされる(前掲書、同頁参照)。
(アッラー*は、)不可視の世界*と現象界¹をご存知のお方。大いなる*お方、至高の*お方であられる。
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1 「現象界」については、家畜章73の訳注を参照。
あなた方の内、言葉を秘める者も、それを露わにする者も、夜にこそこそとする者も、昼に堂々とする者も、(アッラー*には)同じこと。
かれには、(人間の)その前と、その後ろに、アッラー*のご命令によって彼を守(り、その行いを記録す)る、交代番¹(の天使*たち)がいる。本当にアッラー*は、民の(恩恵に溢れた)状況を、彼らが自分たちの状況を(自ら)変える²まで、変更されることがないのだ。そしてアッラー*が民に災難をお望みになれば、それを遮るものは誰一人としてなく、彼らには、かれ以外にいかなる庇護者もいない。
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1 人間には、その右側に善行を記録する天使*、左側に悪行を記録する天使*が一人ずつおり、またその前後には、彼を守る天使*が一人ずつ付いている。そしてこの四人の天使*は、朝晩に別の四人と交代して任務につく(イブン・カスィール4:437参照)。カーフ章17とその訳注も参照。 2 信仰から不信仰へ、アッラー*への従順さから反逆へと自らの状態を変えない限り、という意味(アッ=サァディー414頁参照)。戦利品*章53とその訳注も参照。
かれ(アッラー*)はあなた方に、(あなた方が)恐怖と待望¹を抱く稲光をお見せになり、(雨を湛えた)重厚な雲をお造りになるお方。
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1 稲光には落雷の恐怖もあるが、それによって雨を期待することも出来る(ムヤッサル250頁参照)。
また、雷鳴¹はかれ(アッラー*)への称賛*と共に(かれを)称え*、天使*たちはかれへの恐怖から(そうする)。そしてかれは稲妻を送り、彼ら(不信仰者*たち)がアッラー*(の唯一性*と御力)について議論している最中に、それでお望みになる者を撃たれる。かれは、御力²の凄まじいお方。
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1 「雷鳴」については、雌牛章19の同語についての訳注も参照。 2 ここで「御力」と訳した語「ミハール」には、「懲罰」「策略」などといった解釈もある(アル=バガウィー3:12参照)。
真の呼びかけ¹は、かれ(アッラー*)だけに属する。そして、彼を差しおいて彼らが祈っているものたちは、少しも彼らに応じることなどない。自分の(乾いた)口に届くよう、その両手を(遠くから)水へと伸ばすが、そこには届かない者(が、その念願を叶えられる)程度のもの以外には(、その念願を叶えられないのだ)²。不信仰者*たちの祈願は、全くの徒労である。
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1 「真の呼びかけ」とは、シャハーダ*のこととされる。祈願のために呼ばれるべき存在は、アッラー*のみである(ムヤッサル251頁参照)。 2 つまり、その祈願は叶えられない。ほかにも、これが「空想の水に手を伸ばす者」「水を両手で掴(つか)もうとするが、掴めない者」の様子である、といった説がある(アル=クルトゥビー9:301参照)。
そしてアッラー*にこそ、諸天と大地にある(全ての)ものは、従順にであろうと嫌々であろうと¹、サジダ*する。また(創造物の)影も、朝に夕に(サジダ²する)。(読誦のサジダ*)
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1 ある種の学者によれば、このアーヤ*の意味は、「信仰者と天使*は、文字通りの崇拝*行為としてのサジダ*をするが、偽信者*は嫌々サジダ*する」。偽(にせ)信者*以外の不信仰者*については、巡礼*章18によって、『全ての人』がサジダ*するわけではないことが説明されている。また一説には、ここでの「サジダ*」は文字通りの崇拝*行為の一形式ではなく、「服従」という意味のサジダ*。というのも不信仰者*もまた、アッラー*のご意見から逃れられず、かれに物理的に服従しているのが現状だからである(アッ=シャンキーティー2:237-239参照)。イムラーン家章83とその訳注、蜜蜂章48-49、夜の旅章44、巡礼*章18とその訳注、御光章41とその訳注も参照。 2 「影のサジダ*」については、「アッラー*のご意思に沿って、その傾きが変化すること」「サジダする者たちの影」といった説がある。蜜蜂章48も参照(アル=クルトゥビー9:302参照)。
(使徒*よ、シルク*の徒に)言え。「諸天と大地の主*は誰か?」言ってやるのだ。「(それは)アッラー*である」。言うのだ。「(そのことを認めている)にも関わらず、一体あなた方はかれを差しおいて、自分自身への益も害も有さない庇護者を設けたというのか?」言え。「盲人と見える者¹は同じか?いや、闇と光²は同じなのか?」いや、彼らはアッラー*に、かれの創造と同様に創造し、それゆえに(それらの創造とアッラー*の)創造が彼らにとって紛らわしくなってしまった同位者を設け(、アッラー*と共に崇拝*し)ているのか?(使徒*よ、)言うがよい。「アッラー*は全てのものの創造主であり、かれは唯一の*お方、君臨し給う*お方である」。
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1 信仰者と不信仰者*のたとえ。真理を見ようとせず、それを信じもしないことから、このようにたとえられている(ムヤッサル251,252頁参照)。雌牛章7,18、家畜章50、フード*章20、24と各訳注も参照。 2 これも、不信仰と信仰のたとえ(前掲書251頁参照)。雌牛章257「闇から光」の訳注も参照。
かれ(アッラー*)は天から(雨)水をお降らしになり、渓谷(の水)はその規模に応じて流れ、流水は浮き上がった(無益な)泡を湛える。また、彼らが装飾品や道具(の加工・鋳造)を望んで火の中にくべるもの¹の内にも、それと同様の(無益な)泡が(生じる)。同様にアッラー*は、真理と虚偽について譬えられる。それで泡はといえば散って消え去り、人々を益するものはといえば、地上に残存する。そのようにアッラー*は、(真理と虚偽、導きと迷いについて)譬えを挙げられるのだ。
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1 装飾品加工のための金銀や、種々の道具を鋳造(ちゅうぞう)するための銅などの金属のこと(前掲書、同頁参照)。
自分たちの主*に応え(て従っ)た者たちには、最善のもの¹がある。そしてかれに応え(て従わ)なかった者たちは、もし彼らに地上にある全てのものとそれと同様のものが(もう一つ)あり、(それを懲罰を免れるための代償とすることが出来たのならば、)それで償ったであろう。それらの者たち、彼らには悪い清算があり、その住処は地獄なのだ。そしてその寝床は、何と醜悪なことだろうか。
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1 この「最善のもの」とは、天国のこと(ムヤッサル251頁参照)。
(使徒*よ、)一体、あなたの主*からあなたに下されたものが、まさしく真理であることを知(って信じ)る者は、盲人¹である者と同様であろうか?澄んだ理性の持ち主が、まさに教訓を得るのである。
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1 「盲人」については、アーヤ*16の訳注を参照。
(それらの者たちとは、)アッラー*との契約¹を全うし、確約を破らない者たち。
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1 この「契約」については、雌牛章27の訳注を参照。
また、アッラー*が繋ぎとめられるよう命じられたものを繋ぎとめ¹、その主*を恐れ、悪い清算²を怖れる者たち。
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1 「アッラー*が繋ぎとめるよう命じられたもの」については、雌牛章27の訳注を参照。 2 「悪い清算」とは、復活の日*に全ての罪を清算され、何一つ見過ごしてはもらえないもの(ムヤッサル253頁参照)。
また、その主*の御顔を求めて忍耐*し、礼拝を遵守*し、われら*は授けたものから(施しのため)秘密裏に、または公に費やし¹、善行によって悪行を追い払う²者たち。そのような者たち、彼らには、世の(善き)結末³がある。
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1 「われら*が授けた・・・費やす」については、雌牛章3の訳注を参照。 2 「善行でもって悪行を追いやる」については、フード*章114の訳注を参照。 3「世の(善き)結末」については、家畜章135の訳注を参照。
(それは)彼らと、彼らの祖先、配偶者、子孫の内で正しかった者*、が入ることになる、永久の楽園。天使*たちも(彼らを祝福すべく)、全ての扉から彼らのもとに入る。
(天使*たちは、彼らに言う。)「あなた方が(現世で、アッラー*への服従において)忍耐*したことゆえ、あなた方に平安を¹」。そして世の(善き)結末²は、何と素晴らしいことか。
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1 「あなた方に平安を」とは、「あなた方はこの日、あらゆる忌まわしいことから安全ですよ」という意味とされる(ムヤッサル252頁参照)。家畜章54の訳注も参照。
アッラー*との契約をそれが確約された後に破り、アッラー*が繋ぎとめられるよう命じられたもの¹を断ち、地上で腐敗*を働く者たち、それらの者たちの上には呪いがある。そして彼らには(来世で)、忌まわしい住処があるのだ。
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1 「世の(善き)結末」については、家畜章135の訳注を参照。 2 「アッラー*が繋ぎとめるよう命じられたもの」については、雌牛章27の訳注を参照。
アッラー*は、かれがお望みの者に糧を豊富に与えられ、また控えられる¹。現世の生活など、来世(との比較)においては(僅かで儚い)楽しみでしかないのに、彼ら²は現世の生活に浮かれているのだ。
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1 物語章82、サバア章36、暁章16の訳注も参照。 2 この「彼ら」は、現世で豊富な糧を授かった不信仰者*のこと(アッ=タバリー6:4730参照)。
不信仰に陥った者*たちは言う。「どうして彼(ムハンマド*)の主*から、彼のもとに御徴が下されなかったのか?¹」言ってやるがいい。「本当にアッラー*は(、導きを頑固に拒む者の内、)お望みの者を迷わされ、よく(アッラー*に悔悟して)立ち返る者を、かれの御許へとお導きになる」。
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1 同様の意味の、アーヤ*7とその訳注を参照。
信仰し、その心がアッラー*の唱念で安らぐ者たち(を、お導きになるのだ)。アッラーの唱念によってこそ、心は安らぐのではないか。¹
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1 同様のアーヤ*として、集団章23とその訳注も参照。
信仰し、正しい行い*を行う者たち、彼らには麗しきもの¹と、よき戻り場所²がある。
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1 この「麗しきもの」の解釈には、「天国にある大木の名」「喜び」「天国の別名」などといった諸説がある(アル=クルトゥビー9:316参照)。
(過去にも数々の使徒*を遣わしたのと)同様に、(使徒*よ、)われら*はあなたを、それ以前にいくつもの共同体が滅び去っていった共同体に、遣わした。(それは)あなたが、慈悲あまねき*お方を否定している¹彼らに、われら*があなたに啓示したもの(クルアーン*)を読誦するためである。(使徒*よ、彼らに)言ってやるのだ。「かれは我が主*、彼以外に、(真に)崇拝*すべきものなど存在しない。かれにこそ、私は全てを委ねた*のであり、かれの御許にこそ、我が帰り先はあるのだ」。
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1 マッカ*の不信仰者*の中には、「慈悲あまねき*お方」というアッラー*の御名を否定する者たちがいた(アッ=タバリー6:4737-4738参照)。夜の旅章110とその訳注、預言者*たち章36、識別章60も参照。
もし読誦されるもの(啓典)によって山々が動かされ、またはそれによって大地が裂け、あるいはそれによって死人が(蘇らされて)語りかけられるとするならば(、このクルアーン*こそが、それである)¹。いや、アッラー*にこそ全ての物事は属する²のだ。一体、信仰する者たちは、もしアッラー*がお望みになれば(奇跡など起さずとも)、全ての人々をお導きになっただろうことを知らないのか?²不信仰に陥った者*たちにはアッラー*のお約束³が到来するまで、自分たちが成したことゆえに災難⁴が襲いかかるか、あるいはそれが彼らの土地の近くに降りかかり続けるのだ。本当にアッラー*は、約束をお破りにはならない。
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1 奇跡を含む全ての物事は、アッラー*の英知とご意思にかかっている(アッ=シャウカーニー3:115参照)。 2 このアーヤ*が下った背景には、預言者*が奇跡を起こしたら信仰する、というシルク*の徒の言葉を聞いた教友*たちが、奇跡が起きるのを望んだということがある(アル=バガウィー3:23参照)。 3 「アッラー*のお約束」は、復活の日*とも、ムスリム*の勝利とも言われる(前掲書、3:24参照)。 4 「災難」とは具体的に、罰、殺害、捕虜、飢餓などのこと(アル=クルトゥビー9:321参照)。
(使徒*よ、)あなた以前の使徒*たちも確かに(自分の民から)嘲笑されたのであり、われは不信仰だった者*たちに猶予を与え、それから彼らを罰したのだ。わが懲罰はいかなるものであったか?
一体、あらゆる者をその稼ぐものにおいて司るお方¹が(崇拝*に値するのか、それとも彼以外の不能な創造物か)?彼らは(創造物の内から)、アッラー*(の崇拝*)に同意者を設けた。(使徒*よ、)言ってやれ。「それらの(同位者の)名(と性質)を述べてみよ²。いや、一体あなた方は、かれが地上において関地されないもの³について、かれに申し上げるというのか?いや、一体(実体もないのに)言葉の上っ面で、(それを同位者と呼んでいるだけ)なのか?いや、不信仰に陥った者*たちには自分たちの策謀⁴が目映く見せられ、彼らは(アッラー*の)道から阻まれてしまったのだ。誰だろうとアッラー*が迷わせ給う者には、いかなる導き手もない」。
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1 アッラー*は人の行いを、全て教え上げられるお方(ムヤッサル253頁参照)。頻出名・用語解説の「全てを司る*お方」の項も参照。 2 述べてみたところで、それらは崇拝*に値するものではないから、の意(ムヤッサル253頁参照)。 3 彼らがアッラー*の同位者として崇めているものは、実態がないゆえ、アッラー*はそれらを関地されない(イブン・カスィール4:463参照)。 4 この「策謀」とは、嘘を真実のように見せる、彼らの偽装(ぎそう)のこと。あるいは、シルク*による、イスラーム*に対する彼らの「策謀」のこと(アル=バイダーウィー3:332参照)。
彼らには現世の生活で懲罰があり、来世の懲罰こそはもっと厳しい。そして彼らにはアッラー*(の罰)から、誰も守ってくれる者などない。
敬虔な*者たちが約束された、天国の様子(とは、このようなもの)。その下からは河川が流れている。その食べ物は絶えることがなく、その陰も(同様)。それが(アッラー*を)畏れる者たちの結末。そして不信仰者*らの結末は、(地獄の)業火なのだ。
われら*が啓典を授けた者たちは、あなたに下されたもの(が、自分たちの教えと符合している事実)に歓喜する¹。そして(不信仰の)徒党の内には、その一部を否定する者²がいる。(使徒*よ、)言うのだ。「私はアッラー*を崇拝*し、かれ(の崇拝*)に何ものも並べない³よう、命じられたに過ぎない。かれ(の崇拝*)にこそ私は(人々を)招くのであり、かれの御許にこそ、我が戻り場所はある」。
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1 ユダヤ教徒*からムスリム*となったイブン・サラームや、キリスト教徒*からムスリム*となったアン=ナジャーシーらのことを指す(ムヤッサル254頁参照)。 2 預言者*に論争を挑んだナジュラーンのキリスト教 導師ら(イムラーン家章、冒頭の訳注を参照)や、ユダヤ教徒*のナディール族の長カァブ・ブン・アル=アシュラフらのこと(前掲書、同頁参照)。 3 「何ものも並べない」とは、シルク*を犯さない、ということ。
(使徒*よ、過去の預言者*たちに、彼らの言葉で啓典を下したのと)同様に、われら*はそれ(クルアーン*)をアラビア語の裁定¹として下した。もしもあなたが、自分に知識が到来した後に彼ら(シルク*の徒)の私欲に従うのなら、あなたにはアッラー*(の罰)に対する、いかなる庇護者も守護者もないのだ。
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1 クルアーン*に含まれる法規定によって裁くところの「裁定」、あるいはアラビア語で表現された「英知」という意味とされる(アッ=シャウカーニー3:120参照)。
(使徒*よ、)われら*は確かに、あなた以前にも使徒*たちを遣わし、彼らに妻と子孫を授けた¹。そしてアッラー*のお許しなしには、いかなる使徒*も御徴²をもたらすことはない。全ての期限には、(定められた)書がある³のだから。
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1 一説に、これは預言者*が結婚していることを揶揄(やゆ)したシルク*の徒について下ったとされる。だがアッラー*は、使徒*たちを、飲み、食べ、結婚もする人間とされたのであり、天使*とはされなかった(アル=バガウィー3:26参照)。 2 この「御徴」とは、奇跡のこと。シルク*の徒らは、使徒*の証明とし て奇跡を起こすよう要求したものだった(ムヤッサル254頁参照)。雌牛章108、家畜章109-110、ユーヌス*章97、夜の旅章90-93、ター・ハー章133、預言者*たち章5、識別章7-8、創成者*章42も参照。 3 つまり、全ての物事にはアッラー*によって前もって定められた期限がある(前掲書、同頁参照)。
アッラー*は、お望みのものを抹消され、また、定着させられる。そしてかれの御許には、書の母があるのだ¹。
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1 法規定でも何でも、アッラー*は、英知によって、お望みのものを抹消し、保存される(雌牛章106、蜜蜂章101も参照)。それらのことも含め、アッラー*の御許には、復活の日*までの創造物の全状態が定められた「書の母」、つまり守られし碑板*がある(イブン・カスィール4:471、ムヤッサル254頁参照)。「母」と呼ばれているのは、それが全ての書の元であるため。アラビア語では、何かの元となるものを「母」と呼ぶことがある(アッ=ラーズィー7:52参照)。
(使徒*よ、)もし、われら*が彼らに約束したもの¹の一部をあなたに見せてやるにしても、あるいは(その前に)あなたを召すにせよ、あなたには(アッラー*の教えの)伝達あるのみなのであり、清算するのはわれら*の役目なのだ。
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1 「彼らに約束したもの」については、ユーヌス*章46の訳注を参照。
そして一体、彼ら(不信仰者*たち)は見ないのか?われら*が(彼らの)土地に取りかっては、それをその端々から削り取っていく¹のを?アッラー*は裁決を下されるが、そのご裁決を覆す者などはないのであり、かれは即座に計算される*お方なのだ。
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1 これはムスリム*の国の領土が広がっていくにつれて、シルク*の徒の領土が減っていくことを示しているのだと言われる(アッ=タバリー6:4762-4765、ムヤッサル254頁参照)。
彼ら以前の者たちは(自分たちの使徒*に対して)確かに策謀した。そうであっても、全ての策謀はアッラー*に属する¹。かれは、全ての者が稼ぐもの(行為)をご存知なのだから。そして不信仰者*らは(復活の日*)、誰に世の(善き)結末²があるかを知ることになろう。³
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1 この解釈には、「アッラー*の御許にこそ、彼らの策謀の応報がある」「彼らの策謀も全てアッラー*の創造なのであり、かれがお望みにならない限り、それが誰かを害することはない」といった説がある(アル=バガウィー3:28参照)。彼らへの罰が、彼らの罪(策謀)の名で表現されていることについては、雌牛章135の訳注を参照 2 「世の(善き)結末」については、家畜章135の訳注を参照。 3 無論、それは使徒*に従った者たちのものである。(ムヤッサル254頁参照)。
不信仰に陥った者*たちは言う。「(ムハンマド*よ、)あなたは(アッラー*の御許から)遣わされた者ではない」。言ってやれ。「私とあなた方の間の証人は、アッラー*だけで十分である。そして、啓典の知識を有する者¹(の証言)だけで」。
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1 これは啓典の民*の内、ムスリム*になった者たちのこととされる(前掲書255頁参照)。アーヤ*36とその訳注も参照。